特集記事
サステナブル・ストーリーテリング
欧州では、企業の経営幹部が自社のCSR/サステナビリティを自分の言葉で伝える動きがあります。
たとえばユニリーバのCEO、ポール・ポートマン氏は、自身が広告塔となってユニリーバのCSRプログラムであるSustainable Living Planを伝えています。
イケアのCSO(Chief Sustainability Officer)のスティーブ・ハワード氏は、環境NGOのクライメイトグループを立ち上げたた人物で、ヘッドハンティングによってイケアに来ました。欧州では、NGOの方が企業のCSR/サステナビリティ部門に移り、推進することがよくあります。
イケアは地球温暖化についてもLED電球などで貢献できるとして、「どういう形でサービスを提供すれば二酸化炭素排出量の削減ができるのか、資源の枯渇を減らすことができるのか、今まさにサステナビリティに取り組まなければならない」と語っています。
こうしたことを伝えるのに、欧州では現在、「サステナブル・ストーリーテリング」が用いられています。ストーリーテリングというのは、伝えたい思いやコンセプトを、それを想起させるような体験談やエピソードなどの物語を引用したりすることによって、聞き手に強く印象づける手法です。もともとは子どもに童話を語りかけるときの伝え方ですね。
ビジネスの手法としては、組織変革を起こしたり、共感を広げたりします。共感すると、聞き手はストーリーの中に入っていきます。
それをCSR/サステナビリティに活用したものが「サステナブル・ストーリーテリング」です。
先ほど述べた大きなリスクに対して、企業がどのように取り組んでいるのか、どのようにステークホルダー(従業員・消費者・コミュニティ等)といっしょに解決していくのかを「サステナブル・ストーリーテリング」として社内外へ伝えているわけです。
持続可能な開発目標(SDGs)
2015年9月、国連で持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が採択されました。この年に期限切れとなる国連ミレニアム開発目標を継承・発展させたもので、発展途上国・新興国のみならず、先進国も含むすべての国が17の分野別の目標と、169項目の達成基準を推進していくことになっています。

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ここでは消費生活アドバイザーとのかかわりから、目標12の「責任ある消費と生産」にフォーカスしていきたいと思います。
これは「持続可能な消費と生産パターンを確保する」もので、項目が細かく挙げられています。
たとえば「ターゲット12.3:2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の1人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」があります。
SDGsを企業がどう実施していくかについては、国連グローバルコンパクト、GRI(Global Reporting Initiative:サステナビリティに関する国際基準の策定を使命とする非営利団体)、そしてWBCSD(World Business Council for Sustainable Development:持続可能な発展のための世界経済人会議)が作成したSDGコンパスという指針が提供されています。これは、各企業の事業にSDGsがもたらす影響を解説し、持続可能性を企業戦略の中心に据えるためのツールと知識を提供するものです。
日本語版が出ていますので、自社で取り入れていく際にはこちらを読んでいただきたいと思います。以下よりダウンロードできます。
http://ungcjn.org/gc/pdf/SDG_COMPASS_Jpn_0318_30P.pdf
先日、この日本語版のお披露目会に参加したのですが、日本でもやはり盛り上がりつつあります。