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活躍する消費生活アドバイザー

では、消費生活アドバイザー資格について。受験のきっかけは?

幸山 消費生活アドバイザー資格は、制度ができた当初から知っていました。
 今も高校の家庭科非常勤講師として働いている妻が受験を考えていたからです。「家庭科に関係する資格なんだけど、消費生活アドバイザーという資格制度が始まって、来年2回目の試験があるのよ。法律やクレジットのことも試験科目に入っているので、教えてくださいね」と言われました。一緒に勉強することになり、そろって消費生活アドバイザー第2期の試験を受験しました。
 結果は、第1次試験合格。しかし、第2次試験の論文は、大学卒業以来作文すら書いたことがなく、完敗でした。

 その後、信販会社でお客様相談室に配属され、今度は仕事でどうしても必要な資格になり、15年ぶりに少しだけ勉強。3度目でやっと合格し、16期生になった次第です。
 当時は、信販業界には有資格者がほとんどいませんでした。通産省(現・経産省)の割賦販売法に基づく立ち入り検査が4年に1度ぐらいあって、お客様相談室の相談件数・内容や苦情対応についても、検査・指摘を受ける場面がありました。その際に、私が業界初の消費生活アドバイザーの有資格者相談室長だと分かってから、当時の検査係員は、信販会社の立ち入り検査項目に消費生活アドバイザーの有資格者数を加えたようです。

 しかし、1人だけでは消費者志向経営を行っているとは言えません。自動車メーカーのような百人単位は無理としても、「せめて50人ぐらいの有資格者数にしよう」と、当時の社長に「合格者にはお祝い金を社長賞として出してください」とお願いしました。さらに人事部が推奨する資格のなかに消費生活アドバイザー資格を入れていただき、通信教育の最重点資格になっていきました。結果的に、最高時には40人弱まで増えたと記憶しています。
 転職した別の信販会社でも、私しか有資格者がいなかったので、同じように増やそうと社内啓発に努め、10人以上まで増やしました。選択問題はともかく、自分が論文でつまずいた経験があるので、論文の課題を私が出して、社内LANを通じて投稿してもらい、個々に添削して返す、という地道な繰り返しを行いました。よく勉強する集まりでしたね。

相談員として出前講座でも活躍されているようですね。

幸山 尾道市の時は、最高時には午前と午後の2回開催などして、年間40回近く、独りで走り回っていました。
 開催主体のほとんどが高齢者向けの「いきいきサロン」でしたが、県立高校や大学にも出かけました。民生委員/児童委員の総会には必ず出席させていただき、地域でのさらなる開催拡大を働きかけました。
 NACS中国支部から講師派遣要請を受けて、消費生活サポーター養成講座の講師や県立高校に出向いたこともありました。

 高齢者向けでは、必ず冒頭に「頭の体操」としてクイズを出します。脳の思い込みに関するクイズです。
 脳の「背外側前頭前野(DLPFC)」という部位の図を示して、作業記憶の役目などを話すこともあります。その際には、「ルビンの壺」という心理学では有名な「図地反転図形」を示して、つかみは成功します。黒い部分に注目すると壺の形が見えてくるのに対し、白い部分に注目すると向かい合った2つの横顔が見えてきます。脳は、壺が見えているときは、顔は認識できず、顔と壺はまるで切り替わるように一方だけが認識でき、両方を同時に見ることはできません。

企業退職後の活動を考えている方へのメッセージをお願いします。

幸山 こんな経験をさせていただくとは、思ってもみませんでしたが、私は退職後の人生のほうが生きがいがあります。昨年は国家資格の消費生活相談員資格にも合格し、消費生活関連の3つの資格を取得し、やっと一人前になりました。喜寿を迎えても、胃が痛くなるような苦情にも「はい、喜んで」という気持ちで、まだまだ、対処したいと思っています。

 私が消費生活センターの相談員になったばかりの頃は、男性相談員が非常に珍しかったのですが、昨今は男性相談員も増え、独自のアピールができる能力も問われています。消費生活アドバイザー資格をもっているだけではなく、最低限スマホやパワーポイントを使いこなすなどの努力も求められています。
 単なる定年後の再就職先だと思って、消費生活センターの相談員になると、周囲の期待に沿えなくなると思います。今は、会計年度任用職員という身分で、ボーナスもいただけるので、いつも努力を忘れずに向かってください。
 私も、「いつか気象予報士の資格を取得して、生成AIを使って、苦情対応ができるといいなぁ」と妄想しています。

(取材:2024年12月2日)
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