TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 活躍する消費生活アドバイザー > 鈴木さん インタビュー記事2

活躍する消費生活アドバイザー

大妻女子大学の講座では、何を教えておられたのですか。

鈴木 「食品流通生活論」を教えていました。食品の原材料ができ、加工されて消費者のところに至るまでの仕組みや、そこに関わる法律、それがどのように変化してきたか。歴史的・社会的背景も教えました。大学からの依頼は「学生がフードスペシャリスト資格試験に合格する力量になる講義をしてください」でしたので、その内容に沿って話をしました。
 最初の1年間はレジュメ作りがたいへんでした。会社やACAP、日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)から情報提供してもらって作りました。年間30講座のうちの2講座で消費生活アドバイザー資格を紹介し、学生に「取ったほうがいいよ」と勧めていました。

学生の反応はいかがでしたか。

鈴木 先生の話を真摯に聞いて、メモをしっかりとる優秀な学生もいれば、「単位が取れればいいだけ」といった学生も見受けられました。
 グループワークでは、有名なお店や食品などを取り上げ、「これはなんでしょう。食べたことありますか」と質問集を作ったり、「内食・外食・中食という区分で特徴を調べてきなさい」というレポートを提出させたりして、だんだん興味をもってもらえたかと思います。
 レポートを出させると、みんなすごく優秀なんです。能力はありますし、消費者としての見る目ももっていました。

現在は、NACS東北支部で支部長をされています。とまどったことなどは?

鈴木 ナガノトマト在職時はNACS東日本支部の長野分科会に入り自主研究会などで活動していましたが、2021年、退任して仙台に戻ってきて東北支部に転籍しました。翌年、支部長を引き受けることになり、また新しい経験をすることになりました。
 とまどったこととしては、活動をお願いした際に尻込みされる方が多いことです。3回お話すると動いてくださるのですが。その代わり、一度引き受けると、あきらめないで一所懸命やってくださいます。最初の入り口がたいへんです。
 東北支部には「本格的な活動は、これから」という方がたくさんいらっしゃいます。モチベーションが上がると、いろいろな方向に進んでいけると思っていて、やりがいがあります。

仙台市のシニア塾の講師もされているとか。

鈴木 はい。前支部長の大西二郎さんとシニア塾などで出前講座もしています。いっしょに仙台市の教育機関の方と話をしていたら、「もっとNACSの方に講義をしてもらえませんか」と言われまして。先日は「小林製薬の健康食品の問題について」というテーマを依頼され、お話してきました。サプリに関する講座はシニアの方にとても人気があります。

 シニア塾は、4月開講して翌年3月までの受講で、受講証書をもらえます。しっかりしたカリキュラムが作られ、出席率もチェックしますし、半分以上欠席すると証書が不交付になります。金融やICT、福祉といった科目もあり、課外授業もあります。人気が高く、参加は抽選になっていまして、昨年は約2倍だったそうです。
 シニアの方は意欲があります。1年間同じ教室で勉強するのでお仲間になり、情報を共有して、「次は事前に仲間で勉強していこう」とお互いに励まし合っている感じですね。
 80歳近い方に「先生」と言われると、ちょっと不思議な感じです。講義を終えて質問を受けるんですが、専門的なことをよく聞かれます。
 シニア塾の講師はほかのNACSの会員も含め、今後増えていくと思います。

今後取り組みたい活動テーマなどは?

鈴木 シニア塾のような高齢者を対象にした講座を広げていきたいです。
 特に、デジタル機器の扱いやインターネットショッピング、金融を熟知している高齢者は少ないですし、トラブルも発生しやすい。新しい商品について教えてくれる人がいないと不便ですよね。自分で勉強したり問題を解決するのは難しいので、教える講座があるといいと思います。
 たとえば、「スマホを使ってネットショッピングをしましょう」という講座でも、ネットショップの模擬ホームページに行くのに1時間くらいかかったりします。スマホで「電話しか利用しない」「LINEしかしない」と使い方が限定され、インターネットにアクセスする方が少ない。それでも「家族には聞きたくない」「友達に、そんなことも知らないのかと思われたくない」という方が多いようです。
 行政が行っている講座であれば気軽に参加できると思うので、増やしていきたいです。高齢者にICTを教えている方が、東北支部にも7名います。

人生100年時代の活動を考えている消費生活アドバイザーへのメッセージを。

鈴木 先輩アドバイザーの方から「退職してボーっとしている暇なんかないですよ。そういう時期にこそ、後進にいろいろ教えていかなければ」と言われたんですね。そのとおりだと思います。
 消費生活アドバイザーは、自分のもっているスキルを伝えていくのが一番世の中のためになり、満足感も得られるのではないでしょうか。
 NACSの会員の方で卓球クラブに入っている方が、そこの仲間にICTの話をしているそうです。身近なところから、消費生活アドバイザーで培った知識をお伝えしていってはいかがかと。

 消費者問題は年々複雑化し、若年層から高齢者まで被害が及んでいるのが現状です。私自身は、出前講座を通じて少しでも消費者啓発や被害防止につながり、社会貢献の一助になれれば幸せなことと思い、毎日を過ごしています。

(取材:2024年8月27日)
< 終 >

▲TOP