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活躍する消費生活アドバイザー

鈴木 源一さん

50代半ばで取得。資格により講師・講演活動が増えました

鈴木 源一さん(消費生活アドバイザー32期)
日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会 東北支部長

1978〜2014年、オーマイ株式会社(旧:日本製粉、現在は株式会社ニップン)勤務。営業統括、営業企画、広報部門を経験し、退職時はお客様センター長。同年〜2021年、グループ会社の株式会社ナガノトマトに勤務。2022年にNACS東北支部長に就任し、現在に至る。2019〜2024年に大妻女子大学非常勤講師として「食品流通生活論」を担当。消費者庁食品ロス削減推進サポーター、デジタル庁デジタル推進委員、特定非営利活動法人 消費者市民ネットとうほく理事。
ACAPの活動で知った句会に参加し、20年近く俳句をたしなむ。俳号は鈴木紫陽花。近作に「深山抜け泥湯に沈む秋彼岸」

お客様対応部門について、近年、変わってきていると感じていることはありますか。

鈴木 デジタル活用が進んだことですね。私がニップンのお客様センター長だった頃は、お客様からのお申し出は手紙とメールが5%、電話が95%でした。日中在宅されている主婦、高齢の方などが多かったのですが、今はメールが増えているようです。
 ニップンにたずねたところ、今はメールが2割くらいになってきて、今後はもっと増えると見ていました。若い方は自分で調べることが多いので、「質問を想定し、その回答をホームページに載せておくのが大事」とのことでした。
 NACS東北支部の、企業でお客様相談にあたっている方にも聞いてみましたら、やはりメールが多くなってきているそうです。

 「苦情」は、変わらず一定割合あるものの、極端にエスカレーションするものは減ってきているようです。社会的にカスタマーハラスメントが認知されてきたためかもしれません。企業側が、脅されてもお金を出さないことが知られてきているのではないでしょうか。

ニップン在職時、消費生活アドバイザー資格推進に積極的に取り組まれ、当サイトの「資格活用への取組み」に登場していただきました。

鈴木 そうですね。社内に「お客様対応部門は、ストレスがたまる部署」とのイメージがあるように見えたので、自分が変えていきたいと思ったんです。そこで利用したのが、消費生活アドバイザー試験でした。上層部に「こういう良い試験があるのでみんなに受けさせたい。会社として配慮をしてほしい」と掛け合いました。勤務時間内に勉強をするのは認められませんでしたが、合格後の報奨金増額を取り付けました。

 部署内で「がんばって受けませんか」「報奨金が出るよ」と働きかけましたが、返ってきたのは「だめです」「難しい。受けたことがあるけれど、受からない」の声ばかり。そこで、「どうしたら、受けますか?」と聞いたところ、「鈴木さんが受験してくれたら、私たちも受けますよ」。
 これは受験せざるを得ません。部署内のメンバーを誘って、消費生活アドバイザー試験の勉強を始めました。残念ながら、私は第1次試験で1度、第2次でも1度落ちました。でも若手は1発で受かっていきます。後輩たちといっしょに合格した時は、本当にうれしかったですね。

One teamになっていくような感じですね。

鈴木 一つの目的に向かっていくと、モチベーションが上がるんですよ。みんなが「頑張ろう!」という気持ちになります。資格取得の努力を業務上の評価に反映させるという形で、会社も応援してくれました。
 こうしたことが社内でウワサとなり、お客様センターのイメージが「ストレスの多い部署」から「資格を取ったり、勉強会をやったり、楽しそう」に変わっていきました。特に、キャリア形成に悩んでいた女性社員が「お客様センターに行ってみたい」と言ってくれ、受験の後押しになったと思います。

消費生活アドバイザー資格の取得前後で、ご自身が変わったと思うことがありましたら。

鈴木 自信がつきました。
 当時は50代半ば。勉強しても、なかなか頭に入ってこないんですよ。若者はすぐに暗記できるんですけれど、私はなかなか覚えられなくて、何回も読み直していました。それでもコツコツやっていれば、覚えることができ、自信になりました。「高齢でも大丈夫だ」と知り合い何人にも言っています。
 本当に、資格取得してよかったと思っています。
 学校や仕事には期限がありますが、誰もが一生、消費者です。消費者問題との関わりはずっと続いていきます。それに寄り添っていける消費生活アドバイザーは、とても有意義で魅力的な資格と思います。
 それに、消費生活アドバイザー資格を取得してから、社内・外で講演することが増えていきました。

どのような講演が多かったですか。

鈴木 社内の場合は、お客様の声を分析し「お客様は、こういうことを要望していますよ」といった話を営業マンにするようになりました。営業職は、おもに流通、卸売業、小売業といった得意先の要望は日々聞いていますが、その先のお客様はよく見えていないからです。
 企業、行政、学校、消費者の方など、会社外の方にお話する場合は、食育、食品ロス削減、小麦の話、食品がどうやって消費者のもとに届くか、といったテーマが多かったですね。

 依頼は、会員企業として参加していた(公社)消費者関連専門家会議(ACAP)からのこともあれば、ニップンにメールで来ることもありました。また、ニップンは料理教室を開催していますので、そこに参加された方からのこともありました。企業を知っていただくことができますので、広報活動の一環としてお話していました。

 ニップン退職後は、消費生活センターでの講演がきっかけで、明治大学や松本大学で講師や講師助手を務めることになりました。これがさらに、大妻女子大学での講師につながっていきました。
 講演内容の策定には、消費生活アドバイザー資格がとても役に立ちました。消費者に関わる問題に関心が向くようになって積極的に情報収集したので知識が増えていき、消費者関連分野も含めたカリキュラムを組み立てることができました。
 消費生活アドバイザー資格者で、食品メーカーのお客様センター長経験者ということで、講演依頼が多かったのだと思います。

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