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活躍する消費生活アドバイザー

松本 数馬さん

Uターンし、観光コンテンツ会社や地域づくり法人を立ち上げました

松本 数馬(かずま)さん(消費生活アドバイザー27期)
株式会社イーハトーブ東北 代表取締役
一般社団法人世界遺産平泉・一関DMO代表

三井住友カード株式会社を経て、2008年に株式会社みずほ銀行入行。2011年、仙台支店勤務時に東日本大震災を経験する。2017年に株式会社イーハトーブ東北を創業し代表取締役に就任。2018年に一般社団法人世界遺産平泉・一関DMOを地域の仲間とともに設立し代表理事を務める。
趣味は合唱(男声合唱)、ゴルフ、剣道(3段)。総合旅行業務取扱管理者の資格ももつ。インドネシア語検定E級。バリヒンドゥー教が暮らしに息づくバリ島の文化にひかれている。

現在のお仕事について、簡単にご説明願います。

松本 株式会社イーハトーブ東北と一般社団法人世界遺産平泉・一関DMOの代表として活動しています。
 まず、イーハトーブ東北ですが、2017年2月に東北の産業振興を目的として設立した会社です。宿泊と飲食、旅行業といった観光コンテンツを提供しています。
 たとえば、平泉は世界遺産の中尊寺があり年間200万人の観光客が訪れますが、宿泊する人は2%しかいません。景観条例など規制があり新たな施設の建築は難しいので、豊かな自然に着目し築150年の古民家を改修し宿泊施設「平泉倶楽部」にしました。

古民家を改修した宿泊施設「平泉倶楽部」

 また、古民家カフェ「栗駒茶屋」は築70年を超す旧旅館だった建物をリノベーションし、飲食店に改修しました。古民家で食べるかき氷やお団子が人気です。

かき氷やお団子が人気の「栗駒茶屋」

イーハトーブは、宮沢賢治が「理想郷」の意味で使った言葉ですよね。

松本 そうですね。イーハトーブとは理想の状態のことをいうそうです。それを東北で目指したいと考え名付けました。
 この会社を創業したきっかけは、私が2011年3月に株式会社みずほ銀行の仙台支店に勤めていて被災したことです。1月に転勤したばかりでした。
 震災後は被災されたお客様に対応し、休日にボランティア活動をしていました。家の片づけのボランティアから始まって、避難所になっていた仙台市内の中学校で荷物運びやトイレ掃除をしたり、避難されている方とお話をしたり。そうしたことを2か月間ほどしていました。
 そのあと、大学時代に入っていたグリークラブの仲間たちといっしょに、沿岸の気仙沼市や陸前高田市の避難所6か所で演奏させていただく活動をしました。演奏活動は、その後も継続して行い、福島県内にもうかがいました。

 それぞれの土地で、東北の人たちが、苦しみや喜び、悲しみも分かち合い、みんなで乗り越えて生きていこうとする姿をたくさん見ました。
 その時、生まれ育った街や地域に、自分が今、何ができるだろうと考えました。東北に新たな産業を起業し雇用を作っていきたいと思ったんです。

 初めての転勤の約2か月後に、1000年に1度の津波が来るんですから、何か「松本、東北でがんばれよ」と言われた気がして。天命だと思いました。

ご苦労されていること、また手応えを感じることは?

松本 この地域の人口がものすごく減っていることです。たとえば、一関市の人口は2015年に12万人強だったんですよ。それが今は、11万3,000人ほど。年間1,800〜2,000人くらい、1%以上減っていくという環境下にあります。
 日本全体の経済が振るわないなかで、この地域でビジネスを継続するのは決して簡単なことではないですね。

 そのため、近年は外国人観光客が増えてきましたので、そういった人たちをどう取り込むか、といった取組みに力を入れています。地域のなかに私たちの活動に興味をもち、「面白いね」「いっしょにやろう!!」と言ってくれる人が増えてきているので、心強いです。
 一人で行うのは、時間も労力もかかります。同じ志をもった人たちといっしょに立ち上げ、ともに汗を流す地域団体のようなかたちで活動しています。

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