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活躍する消費生活アドバイザー

丹羽 典明さん

企業を退職後、消費者起点の考えを活かせる消費生活相談員の仕事を選びました

丹羽 典明さん(消費生活アドバイザー31期)
千葉県消費者センター 消費生活相談員

1982年に花王株式会社に入社。化粧品部門の販売分野を経て、2008年に生活者コミュニケーションセンターに異動し、2014年の退職まで勤務。2014年より千葉県消費者センターで消費生活相談員を務めている。NACS東日本支部副支部長。NPO法人消費者市民サポートちば理事。
趣味はトラウト専門のルアーフィッシング。自然の中で魚との駆け引きを楽しんでいる。行動で心がけていることは「バランス」を意識すること。

千葉県消費者センターでのお仕事について、簡単にご説明願います。

丹羽 千葉県消費者センターは1970(昭和45)年に設置され、今年で51年を迎えます。
 相談件数は公表されている数字では年間10,930件、前年比103%(令和元年度)と微増です。年齢別で見ると43%が60歳以上からの相談になり、千葉県の人口構成比32.6%に比較すると、高齢者の割合がかなり多くなっています。
 特徴的な相談は、2019年に上陸した台風15号と台風19号による家屋の被害についてのものです。特に強風による屋根への被害が多く、地元の工事業者も手が回らないような状態になりました。おそらくニュースで屋根にブルーシートがかけられているのを見た方も多いと思います。そこに県外から多くの悪質な業者が訪れました。「火災保険で修理ができる」と言って訪問販売にて工事契約をして、ずさんな工事をしたり、工事契約を解約すると、保険が下りた金額の4割もの違約金を請求するといったトラブルが多く発生していて現在も続いている状況です。

 私は、千葉県消費者センターに昨年度からスタートした会計年度任用職員として、週4日間、消費生活相談員として電話や来所での相談対応にあたっています。

民間企業を退職後、千葉県消費者センターに勤務されたのですね。

丹羽 そうです。以前は家庭用品メーカーの花王(株)に勤務し、永らく化粧品の販売部門を担当していました。

 もともと花王という企業は、その理念である「花王ウェイ」の行動原則に「消費者起点」(現在は「生活者理解」)という言葉があり、ビジョンには「消費者・顧客を最も知る企業に」(現在は「人を良く理解し、期待の先行く企業に」)という言葉があり、消費者に軸足を置いた企業活動をしていました。
 職場だったお客様相談室でも、常にお客様の声に耳を傾けて商品の改良や新製品の開発につなげていくマーケティング活動をしていました。お客様の困っていることに的確に回答して解決して差し上げ、最後には「ありがとう」と感謝されることが、今後の花王ファンを作ることと教えられました。
 退職後も消費者起点の考えを活かし、困っている人の手助けができないかと考え、消費者センターでの勤務を選びました。

相談員としてご苦労されている点は? また、やりがいを感じるときは?

丹羽 相談員になって苦労した点は、想像していたよりも多様な相談に対応しなければならないことでした。
 海外の金融口座を使った取引や暗号資産を使った詐欺的な投資など、トラブルが国際化・複雑化しています。自分の知識ではとうてい対応しきれないことに気づき、「この仕事は無理か…」と思ったこともあります。
 しかし、まわりの先輩相談員の方々のサポートに支えられて、今日まで勤務することができました。本当に感謝しています。

 また苦労とはいえませんが、常に社会で起きている新たなトラブルが寄せられるため、日々研鑚を怠らないことでしょうか。新型コロナウイルスに絡む詐欺的なトラブルや、旅行や結婚式のキャンセル問題など、一気に相談件数が上がってきます。
 しかし最近では、そういった消費者トラブルの勉強会も、会場に出かけなくても、家にいながらオンラインで研修講座を受けることができ、おおいに活用しています。

 やりがいについては、やはりトラブルを解決して、相談者から「ありがとう」と感謝されたときに一番感じます。

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