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活躍する消費生活アドバイザー

明 知孝さん

市役所で消費者行政担当となり資格取得。兼務する企業誘致でも役立っています。

明 知孝(あきら ともゆき)さん(消費生活アドバイザー38期)
南さつま市 商工水産課 商工振興係 主任

鹿児島市に本社がある民間企業を退職後、2013年に南さつま市役所に入庁。企画課及び企画政策課をへて商工水産課に配属される。ここで初めて消費者行政と出会い、消費生活アドバイザー資格を取得。
「継続は力なり」をモットーとして、すでに次なる資格取得への挑戦を始めている。妻と2人の息子と過ごす時間が何よりの楽しみ。

南さつま市について簡単にご紹介願います。

 南さつま市は、薩摩半島の南西部に位置し東シナ海に面しており、人口は約35,000人です。2005(平成17)年に旧1市4町が合併して誕生しました。市の総面積の約6割が森林で山々が連なり、河川流域に沿って平野が開けています。
 暖かい気候から本土で最も早い「超早場米」の金峰コシヒカリが作られています。また焼酎づくりの杜氏集団の故郷で、市内にはその誇りと技を伝承した7つの焼酎蔵があり、地域を活性化する大きな産業となっています。
 景勝地・史跡もたくさんあり、吹上浜砂の祭典をはじめとする観光業も盛んです。

南さつま市の景勝地、輝津館展望所から見る双剣石周辺

商工振興係主任として、どのようなお仕事を?

 企業誘致、企業支援、計量法に係る立入検査などを担当し、消費者行政と兼務しています。

 企業誘致および企業支援においては、2015年度末に企業立地支援に関する条例を全面改正し、それに伴うPR活動を積極的に行っています。この3年間で12の企業・団体・学園などに事業所を設立していただきました。
 計量法に係る立入検査は、実際に市内の店舗において検査事務を行い、不適切な取引を発生させないための取組みを行っています。
 そして消費者行政については、事務全般を担当しており、消費生活センターに在籍する消費生活相談員の後方支援(主として二次的な対応)をはじめ、各種機関とのリアルタイムな情報交換や消費者教育の促進に努めています。

南さつま市の消費生活相談は、どういった傾向がありますか。

 違法な取引を行う訪問販売業者が絶えない一方で、訪問販売による消費者トラブルは減少傾向にあります。
 相談件数は年間平均400件程度で、相談内容として特に目立っているのが、ハガキやショートメールメッセージによる架空請求や、通販会社や宅配会社を名乗る不審なメール、そして多重債務による金銭トラブルです。

 トラブルの要因は、例えば、訪問販売においての強引な押し売りなど販売方法が不適切であることをはじめ、契約や解約に関する案件が中心となっています。
 特定商取引法に伴うクーリング・オフの手続きが履行できる案件は即座にその対処をしていますが、それ以外の案件でも可能な限りあっせん交渉で粘り、消費者利益の確保に努めています。
 また、市内に法律事務所が少ないこともあり、消費生活センターが「よろず相談所」となっていまして、さまざまな各種専門機関へ案内することも多くなっています。

全国的に高齢者の被害が問題になっていますが。

 本市は少子高齢化に伴う過疎が深刻化している地域です。お一人で生活されている高齢者も多く、訪問販売や電話勧誘販売、不必要なインターネット契約、リフォーム工事などのトラブルが多いのが現状です。

 私は、相談できる人が近くにいないということが、「トラブルの深刻化」を招いていると考えています。
 それでも、トラブルとはっきりわかる場合は対処できます。私が最も懸念しているのは「トラブルの潜在化」、ご自身がトラブルに遭っていることを自覚されていない場合です。金銭を搾取されているような事案が発生していないか、悪質な事業者によって次々と契約させられるような二次被害等に遭っていないかが、最も心配なところです。

 この潜在化をゼロにするために、市内の各地域や団体等の活動におうかがいし、消費生活出前講座を実施しています。これによって、まずは消費生活に関するトラブル事例を知っていただき、トラブルは日常生活に潜んでいること、決して他人事ではないことを学んでいただくようにしています。

 また、消費生活センターがどういう活動を行っている機関であるかを詳しく紹介することにも取り組み、「困ったときに相談できる場所がある」ことを認識していただくようにしています。
 それから、地域住民同士で「見守り合う活動」を実践していただきたいと、地域の皆さんにお願いをしています。行政機関等による見守り活動も大事ですが、それだけでは限界があります。
 地域住民同士の垣根が低いことは地方の利点です。ごく小さな変化に最も早く、そして敏感に気づくことができるのは、その日常に身を置いていらっしゃる方々であると考えています。実際、訪問販売業者が一人暮らしの高齢者宅を訪ねてきて、勧誘を断ったにもかかわらず、不退去を続けたところに近くの方々が駆け付け、お引き取りいただいた事例がありました。
 このように個人が意識を高め、地域が連携を強めることで、消費者トラブルは未然に防ぐことができると考えています。

 成年年齢引下げの話が浮上すると同時に、本市では若年層の消費者教育の推進に向けて動き出しました。2016年には小学生を対象とした「こどもセミナー」を開催しました。翌2017年には中学校にうかがい、全校生徒を対象として契約をテーマとした消費者教育を実施しました。
 今後も教育委員会や地域と連携して、消費者教育活動や出前講座を積極的に推進していきたいと考えています。

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