■問合せで多い内容は?

浪崎綾子さん
同相談室への問合せで多いのは、やはり安全に関連するものである。
同相談室の浪崎綾子さんによると
「一番多いのは原料の産地です。もちろんパッケージに書いてあるのですが、高齢の方は見つけにくいのかと思います。
また食品表示法に基づき日本産と表示しているのですけど、産地の県名をお尋ねになる若いお母さんも多いですね」
近年は高齢者からの問合せが増加している。
多いのは、連れ合いを亡くし自分で調理するようになった高齢男性や、一人暮らしになり冷凍食品を使いはじめた高齢女性が、電話で調理方法を尋ねてくる場合である。
これももちろんパッケージに書かれているのだが、読むより聞くほうがてっとり早いと感じるようである。高齢になると文字が見えにくくなる。
「私は相談室勤務がもうすぐ10年になるんですが、配属されたばかりの頃はご高齢の方は少なかったです。お子さんのお弁当をつくっているお母さんが多かったですが、いまは逆転し、ご高齢の方が多いですね。
ゆっくりしゃべったり、間をおいたり、いろいろ工夫してお話しています。ご理解いただけているのか、確認しながらですね」(多田主事)
30〜40代は、わからないことがあるとスマホで調べるため電話する人が減り、一方で初めて冷凍食品を利用するトライアルの高齢者が増加していると、福田室長は見ている。
業務用商品の問合せでは、流通段階での解凍の問題が多い。ごくたまに、調理方法の問合せも受けるそうである。
グローバル事業に関連する問合せには対応はしておらず、
「海外から問合せがある場合は、海外事業部につなぐようにしています。パッケージがその国の言葉で書かれているので、フリーダイヤルもそちらでの対応になります」(福田室長)
■お客様の声を活かした改善例
お客様の声を活かした事例をいくつか紹介しよう。

[事例1]
「ギョーザ」を調理するとき、最初にフライパンを温めるのかどうかわかりにくい
→ パッケージの調理方法の表示を変更。

[事例2]
「ザ★チャーハン」の調理方法にある、「冷たい場合は、温かくなるまで10秒ずつ加熱してください」の意味がわかりません
→ より分かりやすい表現に変更。

[事例3]
「カップに入ったエビのグラタン」をトレイのまま電子レンジで調理してよいかどうかわからない
→ パッケージに注意書きを記載。
「こういった事例は、日々、お客様の声1件1件に向き合い、こうすると改善できるんじゃないか、こういうことから電話をかけていらっしゃるんじゃないか、とデータを読み込むことから生まれました。
2カ月に1回、お客様の声をまとめ、開発グループに改善の提案をしています。
同じように思っても電話されない方がたくさんいるはずですので、商品開発や営業部門には、件数だけで見てはいけないと伝えるように努めています。開発や営業系の人たちは、やはり数字重視で、PPM(Parts-Per-Million:不良品発生率)などを気にしますね」(浪崎さん)
内容を重視した好例は、パッケージに「ギョーザ売上日本一!」の文字が躍る「ギョーザ」であろう。2012年、お客様から寄せられたのは「一度に2パック(24個)を調理する際は、水の量はどうすればよいのですか?」「12個入りを半分ずつ食べたいので、6個の水の量を教えてください」との声だった。
問いは、個数によって水の量が分かるようにしてほしいといった内容なのだが、同社は、水なしでパリッと焼ける商品への改善を行った。
同種商品での売上第一位には、「元祖 油・水なし」を実現した、この改善が大きく貢献したに違いない。