TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 資格活用への取組み > 株式会社NTTドコモ インタビュー記事3

資格活用への取組み

■近年のお客様相談室への相談内容の傾向は?

 全体的な傾向としては、お客様とのコンタクトポイントがドコモショップとコールセンターになっていることから、窓口の対応に関しての意見が多い状況が続いている。
 また近年は、フィッシング詐欺についての相談・意見が多く寄せられている。

●高齢者への対応
 デジタル機器に慣れていない高齢者にとって、スマホ操作は難しいように思われるが、どのような対応が取られているのだろうか。
 「誤発信や通話の切り忘れによる高額通話請求が発生することがあります。これにつきまして、昨年度、CS推進部から主管部にお客様の救済をする方法がないか検討を依頼し、一定の環境を整えることができました。
 また、『よく理解せずに契約をしてしまった』というご相談も多く寄せられています。そこで、店舗にて契約の際にドコモショップスタッフ、量販店スタッフからご説明し、『ドコモからのご案内』という冊子をご用意するようにしました」(菊地さん)

 たとえば、無料で実施している「ドコモスマホ教室」にて通話に関する注意点喚起等も実施している。ここで電話の受け方、メールの送り方、高額通話料請求にならないような方法を説明し、端末操作を中心に「すぐに使える」ように丁寧にサポートするとともに、80歳以上のお客様には、家族同伴での来店依頼等を実施し、利用方法について説明している。さらに、高齢者に配慮した冊子を作成し、電話口でいっしょに読みながら説明することも行っている。

 「NTTドコモでは、24時間対応の安心遠隔サポート(440円/月)を実施しています。弊社の相談センターとお客様のスマートフォンの画面が連携され、お使いの電話機から遠隔で操作方法をお伝えするもので、利用方法の入口から出口までご案内できます」(高木課長)

●有害アプリへの対応
 昨今は、有害アプリの脅威が一段と高まっている。これについてのお客様の声も増加していると思われる。
 「NTTドコモでは、d払いの不正利用に関して2020年度に独自の補償対応を行っています。
 近年は、SNSで契約情報を吸い取るフィッシング詐欺も増えていまして、こういった『ご指摘』については、『安心セキュリティパック』(220円/月)のご案内をしています。
 また有害アプリインストールの未然予防として、2022年3月にフィッシングSMSを自動判定・受信拒否する『危険SMS拒否設定』をリリースしました(無料)。この設定サポートをする専用センターをご案内しています」(菊地さん)

■お客様対応スタッフの知識・スキルのアップデートは?

 通信分野は技術革新が著しく、大きなサービス変更も少なくない。スタッフの知識やスキルのアップデートはどのように行われているのだろうか。とりわけ日本各地のお客様に、最前線で応対するドコモショップでは、スキルの平準化はどのようにされているのだろうか。
 この疑問に浪方竹葉CS推進部長(消費生活アドバイザー)は
 「ドコモショップスタッフの商品・サービスに関する知識やスキルについては弊社の各部門が研修を主催します。
 最近は、オンライン研修が増えています。集合研修ですと、日程や時間の都合がありますが、オンラインでかなり効率的にできるようになっています。
 新サービス開始時には学習キットを先に送ったりし、店舗内でしっかり研修できるよう、いろいろな手段を用いています」

 「CS推進部としてドコモショップスタッフのCSリーダーの育成に取り組んでいます。各ショップでお客様満足向上のための活動を推進するスタッフです。その方々を中心に各ショップの課題解決の手法など、幅広い知識を提供する研修を開催しています。
 また月に1回、応対のポイントなどを発信しています。『こういうところを注意してください』『こうするとうまくいきます』といった内容です」(小林さん)

 「お客様相談室の相談員における必要な所作やセオリーについては、マニュアル化したツールを作成し、毎年改版しています。『ご指摘』はケースバイケースなのですけれども、特に大切なものをセオリー化しました」(菊地さん)

 こういったマニュアルを使用した各種研修、実際の応対の研修を実施するほか、新人社員には1か月ほどかけてお客様と対応をする前に座学、OJT等を行っている。
 加えて、東京・大阪の2か所をつないだWeb会議で、電話受付スタッフ・メール手紙対応スタッフ・社員が、直近で増加した案件やお客様への説明方法などを検討し、「気づき」の共有とサービス改善の水平展開も行っている(3回/月)。
 この「気づき」も、前述のエスカレーションに組み込まれ、改善促進担当や他の担当と連携して社内にフィードバックされている。

 ところで、契約数が膨大であるということは、高齢社会の波を各方面で受けることになろう。高齢で認知機能が低下してくると、何度も同じことを質問したり、電話口でいら立った口調を投げかける人も増えてくるのではないだろうか。
 「お怒りになられるお客様がいらっしゃった場合は、まず『どうしてお怒りになられるのか原因分析をしましょう』『お客様のお立場を理解しましょう』と理由を考えたうえで、『こういった言葉で気持ちを静めていただきましょう』と先ほどのツール等でお伝えするようにしています。
 また、お客様対応の実践研修を提供していまして、お怒りのお客様のロールプレイングをしてトレーニングをしています」(浪方部長)


▲TOP