TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 資格活用への取組み > 株式会社NTTドコモ インタビュー記事1

資格活用への取組み

有資格者の多様なお客様目線をCMチェック等に活かしています

株式会社NTTドコモ CS推進部

(株)NTTドコモは携帯電話契約数が8,500万件を超え、販売するドコモショップは全国津々浦々、約2,100店に及ぶ(2023年6月現在)。ユーザーは年齢層が幅広くかつ多様、サービスも広範であり、通信サービスに加えてdポイント・d払いなどの決済サービス、dマーケットを通じて多様なコンテンツ販売も展開されている。寄せられるお客様の声も相当な量に違いない。どのように対応しているのだろうか。

■お客様満足向上に向けた活動の概要

 まず、お客様満足の向上に取り組むCS推進部の体制についてうかがった。CS推進部CS企画担当の高木正寿課長(消費生活アドバイザー)より説明を受ける。CS推進部はCS企画、CS調査、CS情報分析、CS改善促進、そしてお客様相談室といった部署で構成されている。
 次に、お客様満足向上に向けた活動の概要をうかがった。以下の3つの段階に分かれている。

①お客様接点の部門からの声を収集
 お客様接点には、ドコモショップやオンラインショップ、全国各地にあるインフォメーションセンター、113センター(故障した場合に電話受付する部門)の電話受付のほか、インターネット受付などがある。
 これらの合計は約361万件/年であり、実に1日約1万件も寄せられていることになる。
 「このほか、ドコモショップのフロントスタッフや社員からのサービスや商品に関しての改善要望を『気づきの声』として取り入れています。また、お客様アンケート等を活用してNPS(Net Promoter Score、顧客ロイヤルティを測る指標)調査を実施しています。
 お客様相談室でも、直接お客様の声をうかがうとともに、消費生活センターからの声も承っています。
 これらをもれなく取り入れて改善につなげようと、日々努力しています」(高木課長)

 361万件の約半分はコールセンターに寄せられているとのこと。コールセンターは、問合せ内容によってお客様が選択するようになっており、dカードやdポイントといった金融系のサービスなどは専門センターに接続される。
 お客様アンケートは、ドコモショップ来店時やコールセンターに電話した翌日にメール送付されている。

②分類・分析
 CS推進部内の各担当が、ドコモショップやコールセンターに寄せられる声、NPS調査、相談室からの「ご指摘」の声などをキーワードやカテゴリーに分類するとともに、課題を抽出しレポートを作成している。

 1日に約1万件もの「声」である。これだけの量をどのように分類するのだろうか。小林弘実CS企画担当(消費生活アドバイザー)に詳しくお話いただいた。
 「大きく分けて2つの方法で行っています。
 一つめはトピックスベースでの分析です。お客様の反応が大きいテーマなどについて日次・週次・月次で確認し、『声』が一定数寄せられた案件については内訳件数を把握して分析し、詳細に見ていきます。
 二つめは、定点監視。重要サービスなど、あらかじめお客様への反響がありそうだとか、『ご指摘』につながりやすい内容がありそうだというものに目星をつけ、サービス・カテゴリーについて月次で内容や件数を把握して、変化を把握・分析していきます」

 お客様の声を登録する専用システムは、特定のワードが一定数に達したら、自動的にアラームが表示されるようになっている。また新サービス提供時などには、増加しているワードを人間がウォッチする場合もあるとのこと。

 さらに菊地聖二お客様相談室企画担当より、お客様相談室での分析の特徴をうかがうことができた。3点あるという。
 1点目は専用システムで、幹部を含め全社員が閲覧できるデータベースを構築していること。ここに、電話・受付をした内容が逐一、30分くらいのうちに反映されていく。さらにTCA<(一社)電気通信事業者協会>に寄せられた意見・要望などもこのシステムに登録され、全社的に見ることができる。
 2点目は、登録内容の分析である。お客様相談室で受ける「ご指摘」は、年間でも10万件弱と、お客様の声の全体量からすると少ないが、こちらでの傾向をふまえ、全社的に類似した声はないかを見ていく。その結果をサービス主管部へ情報提供し、随時、反映していくようになっている。
 3点目はDX(Digital Transformation)である。
 「お客様との通話をテキストベースに記述するシステムを昨年5月から導入しています。昨年度はそれを利用して、使ってはいけない言葉が発せられていないかなど、応対品質の改善に取り組みました。今年度は、VOC(Voice of Customer)分析、『ご指摘』内容分析にも使い、通話内容を効率的に分析してタイムリーに社内への情報提供をはじめたところです。
 情報分析担当チームと連携をしながら、オールCS推進部としての情報発信と提言につなげるべく取り組んでいます」

③情報展開・改善依頼
 おもに、以下の3つのルートが取られている。

  • ・幹部の会議体に付議をし、経営サイドがお客様の声や直近の状況を共有している。
  • ・CS推進部内の情報分析担当が、お客様の声を収集・分析・発信し、改善提案をしている。
  • ・イントラサイト等で全社員に向けて情報展開する。

 「お客様の声が商品やサービスの開発・改善、フロントの応対の改善・向上につながるように、ぐるっとサイクルを回し、お客様に満足度を高めていただくよう活動しています」(高木課長)
 このサイクルは、次に示す「エスカレーション対応」のさまざまな動きで見ることができる。

お客様満足向上に向けた活動

▲TOP