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活躍する消費生活アドバイザー

では、消費生活アドバイザー資格について。1993年に取得されたきっかけは?

伊東 1992年に今の部門の前身の生活学研究所に異動したときに、この資格を知りました。会社として推奨していた資格でしたし、必要な知識が得られる資格という印象があり、取得しました。
 受験時はちょうどPL法の制定が話題になっていまして、その考え方や瑕疵(かし)という言葉も初めてでした。過去の消費者問題もまったく知らなかったので「へえー」という感じで、勉強になりました。

 学習内容では、さまざまな法律を知ったことが役に立ちました。法律はどのような内容なのか、どう調べればいいのか、どういった製品にかかわっているのかなどを知ることができました。

2020年にアドバイザー試験を再受験されました。その理由は?

伊東 私は2015年から2年間、消費者庁消費者安全課に政策調査員として出向していました。行政の取組みなどへの知識や視点も学び花王に戻りましたが、「法律や行政の取組みも絶えず変化していること、これらの知識があると考えの枠組みが広がること」を実感しました。知識を得るために、この資格を社内でもっと取得してほしいと思いまして、就業後に勉強会を始めることにし、私自身も講師を引き受けました。
 そこで、今は国家資格も取得できるようになったことでもあり、学び直しを兼ねて、私自身も受験しようと思ったことが理由です。
 おかげさまで勉強会参加者から何人か合格しました。

最後に、高齢社会におけるユニバーサルデザインの普及推進についての考えをお聞かせください。

伊東 日本は世界に誇れるほどの超高齢社会で、高齢者の対応を考えることが当たり前になってきています。
 高齢者はいろいろな障害を複合化してもっているといわれています。高齢者が使いやすいということは、障害をもった方も使いやすい。その意味で、高齢者に向けた製品の開発は、UDやインクルーシブの推進と重なると思います。高齢者も含めた「当たり前」を考えるUD普及推進という意味では、世界の最先端を進んでいけると感じています。

 高齢になっても自分のことは自分でできる、自分の家で暮らせる社会を目指すとなると、より安全で、使いやすく、入手しやすく、使い方もわかるようなモノづくりを推進していく必要があります。高齢の方に、どう製品の情報を伝えていくか、伝え方が課題になってきています。使いやすさということでは、高齢の方にとっては、長年使っている製品が一番使いやすかったりします。そうした方々に安全に、ストレスなく暮らしの中で使っていただくために、どのように情報をお届けするか。官民で取り組んでいる見守り活動にも通じるところがあると感じています。
 一方、DEIの考え方を全世代が当たり前のこととするには、非常に時間がかかりそうです。若者のほうがずっとよくわかっています。DEIの考え方が、従来の日本のシステムと混ざり合いながら隅々まで浸透していくには時間がかかるとしても、絶対必要であり、メーカーに所属している立場としても、その価値や先にあるものをわかりやすく伝えていけるよう努力していきたいです。

(取材:2023年9月6日)
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