■「MY消費生活アドバイザーの会」の発足
お客さま志向統括部発足当初の目標はすでに達成したようにみえるが、実は近年、新たな局面に差しかかかっていた。
「消費生活アドバイザー数が増えていくにつれ、『ただ取得することが目的になっているのではないか』『活躍の場や資格を活かす場がない』という声が上がってきました」
山下さんが当時を振り返った。消費生活アドバイザー資格は5年ごとの更新があり、継続の意思がなければ消えてしまう。2018年以降、毎年70名以上のペースで有資格者を増やしてきた同社では、彼らが順次更新時期を迎える2023年度以降、有資格者数の維持が重要になってくる。
「お客さま志向を推進していくうえで大切な資格ですので、『資格を活かしたい』『更新したい』と思ってもらえるようにすることが課題として認識されるようになったのです」
「そこで、有資格者の知識を会社のお客さま志向の取組みに還元することなどを目的として、昨年度『MY消費生活アドバイザーの会』が立ち上がりました」
と、鈴木さんが続けた。
「消費生活関連の知識は部署によって、活かせる部分がさまざまだと思うんですね。お客さまと直接接する所属はもちろんですが、運用部門などでも、いろいろ活用できます。職務や会員の関心などに応じて、任意で活動に参加していただくスタンスをとっています」
業務との関連の有無にかかわらずどの部署でも、資格を持っていることの意義を再認識してもらうことができれば、更新につながるのではないか。
「私たちは、この資格を業務だけではなくて、『生活に活かす』ための情報も提供しています。実際にそうした活動をしている会員たちにフォーカスして紹介する。地域での小さな活動などを全社に紹介し広げることで、『自分もやってみよう!』と思う人が増えていくと考えています」(鈴木さん)
■「MY消費生活アドバイザーの会」の活動
会員数は、2025年10月時点約650名。全国の支社やグループ会社等の組織の8割に会員が在籍し、本社・本部に至っては9割の組織に会員がいる。「会員だから、絶対にこの活動をしなくてはいけない」という強制はない。自主的な活動をつなぐ場である。
また同会は、お客様対応専門員(CAP)資格者を準会員としており、会員の裾野の拡大に努めている。
「MY消費生活アドバイザーの会」の活動は、大きくは3つに分けられる。
- 1.お客さま志向に関する知識スキルの向上
毎月配信するニュースレターで、消費生活関連の知識・情報や社外の講演会を紹介。事務局が主催する講演会や勉強会、消費者法のオンライン講座も実施している。
講演会の様子
- 2.お客さま志向に対する会員からの意見提案
消費生活に関する一定の知識を保有し、かつ保険業務もわかっている視点からの意見提案がある。たとえば、お客さまに社会保障制度の概要を説明する資料「社会保障制度ご説明ブック」の改訂にあたっては、会員から見やすさやわかりやすさについて意見を聞き、参考にした。 - 3.お客さま志向の共有と、それを社内に広げる活動にあたる消費生活アドバイザー資格者の拡大
お客さま志向の消費生活アドバイザー資格を受験しようという人に勉強会を開催したり勉強方法のアドバイスを行ったりする。
ニュースレターは、トピックスにはじまり、社内・外の情報、講演会紹介、他社の取組み、資格取得推進を積極的に進めている部署の活動や資格者のリレーメッセージ、会員が自発的に行っている活動など、盛りだくさん。社内の有資格者のほか、会員のいる所属長にも送っている。
「MY消費生活アドバイザーの会」ニュースレター
スタートするにあたって、記事不足の心配は?
「MY消費生活アドバイザーの会」の発足前から有資格者を対象にした講演会や合格者お祝い会などを実施し、土台はできていましたので、情報不足で困ることはないかなと思っていました。会員1人ひとりの取組みを発信するようにしています。ニュースで取り上げると、ぜひうちもやってほしいとの声が寄せられることもあり、ネタに困ることはないですね」(鈴木さん)
「あらためて会報を見返してみると、年々書くことが多くなり、内容が充実してきています」(山下さん)
定着している様子がうかがえる。
「みなさん思った以上に熱心で、驚いています。消費生活アドバイザー資格は苦労して取得されている方が多いので、思い入れが強いのかもしれません。『大切な資格』『もっと推進しよう』という会員も多いです」(鈴木さん)
担当部署からの依頼を受け、ニュースレターで同社が作っているお客さま向け冊子などについてアンケートを取ることもあり、昨年度は4回実施した。会員が多数となり、数としての力も発揮できるようになった。
「講演会・交流会は、会員同士の交流が進むもの、知識の習得につながるようなものは、継続して開催しています。講演会などは、部署で参考になるものは、部署内でも展開していただいています。
会員それぞれに自発的に行っている活動がたくさんあり、それを発信することで社内で共有され、ほかの資格者、部署でも同じような活動が始まり、広がっていきます。会員のやりがいにもつながっていくと思います」(山下さん)
会員同士の交流会では、ふだん接することのない他部署の人たちと交流できる。同じ資格を持っているというつながりがあればこその親近感が、実りある語らいをもたらすことだろう。
「MY消費生活アドバイザーの会」会員交流会の様子