■消費生活アドバイザーについて
消費者志向を形として示せるものとして竹添部長が注目したのが、消費生活アドバイザー資格だった。
「ACAP(公益社団法人消費者関連専門家会議)などに参加して、お客様目線の仕組みづくりがすごく進んでいる企業があることを知ったんですね。お客様サービス部が発信源となって、そうした情報を社内に広め、変化していかなければと強く感じるようになりました。名刺に消費生活アドバイザーと書かれている方にも、よく会いました。
そこで、まずは2017年度に私自身が受験し、無事合格したので、2018年度は強い姿勢で臨み、お客様サービス部はもとより『お客様の声部会』の部長仲間など、各方面に声をかけまくりました」。(竹添部長)
当然、受験支援も強化した。
- 1.受験料補助金額をアップした。
- 2.資格・試験ポイント対象であることをPR…能力開発要件として高いランクの10ポイントが取得できる。
- 3.社外講師による対策講座の開催
- 4.受験に役立つ情報を掲載した「消費者志向ニュース」の発信
- 5.論文対策として、添削指導とお客様サービス部による予想問題およびサンプル解答の公開
- 6.社報への「合格者の声」掲載…社報編集部に、「ポイントも取れる価値のある試験ですよ」とアピールして実現。「いいね!」が40個ついた。
「消費者志向ニュース」は、昨年4月から社内イントラネット上で随時発信され、昨年は全19号に及んだ。「こんな試験がありますよ」から始まり、「申し込みが始まりましたよ」、続いて「こんな勉強法がありますよ」といった試験対策スケジュールに沿ったテーマで展開される。
クイズのように楽しめる過去問も満載。松竹梅の3つのメニューを揃えた学習法のバリエーションや、臨場感があり具体的な合格体験記も役立つに違いない。
制作にあたった安東仁史副主任は、スタート当初、竹添部長から何回かダメ出しを受けたそうである。
「このニュースは、消費生活アドバイザーに興味をもってもらうためのプレゼンです。ですから、『勉強してみたい』と思う内容になっているか、といった視点からアドバイスしました。
頻度も重要です。ニュースは、なかなか目にとめてもらえないから、たくさん出す。『なんだろう』と1度見た人が、『面白そうだな。バックナンバーも見てみようかな』とクリック。そんな流れを考えました。興味をもった人を逃さない、というマーケティングの感覚ですね」。(竹添部長)
「消費者志向ニュース」は好評を博し、「読んで、受験を決めました!」「予想問題が非常に参考になりました」といった声が多々寄せられたという。
こうしたニュースなどによって興味を引くようなメッセージを不特定多数の社員に発信することと併せて、竹添部長の熱心な個別説得が、受験者2人から41人、合格者1人から12人、という結果につながったと思われる。
下鳥役員も、竹添部長の熱い説得に応えて受験した一人である。
「『担当役員として必要な資格です!』と言われまして。私は、この部門での勤務経験がなかったので、業務をより把握できると思い、受験することにしました。勉強を始めてみると、すごく面白かったです。衣服や食品などは、身近で、生活に欠かせないものなのに、これまで勉強する機会がなく、初めて知ることが多かったですね。受験生の気分になりました」。(下鳥役員)
同社では今後、全国の支社でお客様対応にあたる総務部長などに受験を呼びかけていく予定である。また、社内の資格者同士が情報共有できる組織づくりも視野に入ってきている。消費生活アドバイザー資格を活用した全国規模の取組みがスタートした際には、またご紹介させていただきたい。
「消費者の自立が進むなか、生活を豊かにする商品として生命保険にご加入いただき、地域社会と連携して企業活動をしていくことが大切だと思います。資格取得が支社まで広がっていくと、全国の現場の声がより集まりやすくなるでしょう。現在は、お客様対応の問題を数だけで探っていますが、お客様目線を補完することで、少数であっても重要な意見が見えてくるかもしれません。そうした段階に進んでいきたいですね」。(下鳥役員)
(取材:2019年5月9日)
< 終 >
下鳥正弘(しもとり・まさひろ)さん
1986年入社。2011年に大分支社支社長、2014年より経営企画部門企画担当副部門長、経営企画部長、情報システム企画部長を経て、2018年より執行役員(事務企画部、契約医務部、お客様サービス部、保険金部、企業保険部、情報システム企画部 担当)。(消費生活アドバイザー39期)
竹添英雄(たけぞえ・ひでお)さん
1984年入社。2014年に契約サービス・システム担当副部門長、2015年に情報システム企画部長、2016年よりお客様サービス部長。(消費生活アドバイザー38期)