TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 活躍する消費生活アドバイザー > 松木さん インタビュー記事2

活躍する消費生活アドバイザー

現在は通販事業の管理職をされています。

松木 自社のオンラインショップと楽天市場の運営に携わっています。私を入れてスタッフ3名で、商品のホームページづくりから商品の発送までを行っています。
 オンラインでの販売は増えてきていますが、当社全体の売上からみると微々たるものですので、どうやって売上を増やしていくかが課題です。
 「お客様の目線を忘れないようにしたい」と常に思っています。

では、消費生活アドバイザー資格について。取得のきっかけなどは?

松木 この資格については品質管理課に異動したばかりの頃にネット検索して知ったのですけれど、難しそうだったので「絶対にムリ」と思っていました。

 それが変わったのは、2016年に日本菓子BB協会で女性1泊研修があり、女性管理職3名によるパネルディスカッションが開かれ、パネラーの一人に選ばれて参加した時です。ほかのお二人が大手製菓会社の非常に優秀な女性の方でした。データ管理の方法や実際の業務内容をお話してくださった時に、レベルの違いを実感しショックを受けました。
 「当社も、お客様対応をレベルアップして大手さんに近づけたい。自分自身の能力もお二人に近づけたい。どうすればよいのだろう」と考え、お二人とも消費生活アドバイザー資格者だったことから「目指してみよう!」と。ちょうど子どもが成長し時間もとれるようになっていたので、試験対策の通信講座を申し込みました。

 私がこの資格を取得したことが刺激になって、当時のお客様情報センターのメンバーも、食品表示検定試験や電話応対技能検定(もしもし検定)などにチャレンジしました。お客様情報センターにとってもプラスになったと思います。

資格の取得後、お仕事に対する意識や行動で変わったことがありましたら。

松木 「お客様目線を大事にしよう。こちらの都合を優先しないようにしなければ」と、いっそう考えるようになりました。「お客様にわかる言葉で伝えること」を意識し、業界用語やでん六でしか通用しないような言葉を使わないといったことです。
 当社は山形県にありまして、山形弁をベースにした当社独特の用語や認識があるように思います。これは私が九州出身だから気がつくのかもしれません。たとえば、お客様から「おみやげでもらっておいしかったので、クラオウ…を買いたい」とのお電話をいただいたことがありました。一瞬「?」。山形県内でお土産として販売している「蔵王の森」という商品のことでした。山形県人はザオウを誰でも知っていると思っているんですが。以後、気を付けようと思いました。

食品ロス削減推進サポーターもされています。

松木 はい。私は(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)の食生活委員会のメンバーになっています。NACSが、消費者庁が進める食品ロス削減推進サポーターの推進団体になっていて、食生活委員会からお話をいただいたのでやってみようと思いました。
 もともと食品ロスには興味がありましたし、サポーターになることでいろいろ勉強できることも魅力でした。何かの原因で回収に至った食品でも、製品自体には問題がないことがあり、「もったいないなぁ」と感じていたからです。食生活委員会とのつながりも、NACS入会時に軽い気持ちで食品ロスに関する東北支部の自主研究会に参加したことに始まっています。

 サポーターの活動として、NACS山形支部のメンバーとの勉強会や山形県消費生活サポーターの方々に向けての講座を行いました。
 講座では、現在、家庭からかなり食品ロスが発生していることを、消費者庁の食品ロス削減ガイドブックなどに掲載されたデータで示し、「家庭での直接廃棄が非常に多いのはなぜかを考えていただきたい」というお話をしました。
 お客様情報センターで、お客様から「袋を開けてしまったんですが、いつまで食べられますか?」というお問合わせを受けたことがありました。その時、「自分で判断されないのかな」と、気になったんですね。賞味期限の表示がなかった頃は、「食べられる / 食べられない」の判断は、においをかいでみたり、一口食べてみてダメだったら吐き出せばいい、といったことが一般的だったと思います。そういう習慣がなくなってきているのかもしれません。
 自分で、「食べられる / 食べられない」を考える習慣をつけていただきたいと思ってお話をしています。

 食品ロス問題ジャーナリストの井出留美さんが、デンマークでは牛乳パックの側面一面を使って、目、鼻、舌のイラスト入りで「賞味期限が切れていても、目で見て、鼻で匂いをかいで、少し舌で味わって、大丈夫だったら飲めますよ」と啓発していることを紹介しています。食品ロスを削減するには、自分の五感を使って判断することが大切だと思います。

 でん六も、会社として子ども食堂やフードバンクの活動に協力するとともに、工場内の食品ロスを少なくする活動をしています。

NACS東北支部の運営委員としても活動されています。

松木 当社には他に消費生活アドバイザーがいないので、NACSに入会したことでいろいろな情報を得る機会ができ、助かっています。山形から仙台は高速バスで1時間ちょっとですので、月1回の運営委員会会合にはオンラインではなく、できるだけ出向いて参加しています。
 ちなみにNACS食生活委員会の会合は、ほぼオンラインで不定期、平日の夜間が多いですね。いろいろな講師の方のお話をオンラインで聞くこともあります。2022年12月には福島第一原発の現状を視察してきました。いろいろと考えさせられる貴重な体験でした。

今後、行いたい活動は?

松木 NACS東北支部の運営委員会でお会いする先輩の方々が、皆さん活動的なんですよ。見習って活動していきたいと思います。消費生活アドバイザーは年齢に関係なく活動できます。
 食品ロス削減推進サポーターとしての講座も、機会を見つけて行いたいと思います。賞味期限の「おいしい目安」という愛称は、すごくよい言葉だと思うのですが、あまり知られていません。また、持ち帰り用のドギーバッグが普及していないと感じていますので、もっと使ってもらえるようにする活動もしたいですね。
 それから、お隣の福島県産の食品を応援していきたいです。敬遠されて安く売られているので、なんとかできないかと思っています。

(取材:2023年11月30日)
< 終 >

▲TOP