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活躍する消費生活アドバイザー

松木 美保さん

品質管理の現場経験が食品ロス削減をサポートする活動につながっています

松木 美保さん(消費生活アドバイザー38期)
株式会社でん六 企画開発部EC課 課長

試験研究機関で食品分析に携わった後、1995年に結婚を機に山形に転居、徒歩圏内にあった(株)でん六に入社。品質管理課で係長を6年間、課長を4年間務める。2013年にお客様情報センター長、2019年に蔵王の森工場 製造部甘納豆課長に就任、2023年より現職。NACSでは食生活委員会に参加するとともに東北支部運営委員を務める。食品ロス削減推進サポーター。
今年、仕事帰りにお稽古に通っていた表千家の教授資格を取得。「お茶や消費生活アドバイザーの素敵な先輩方を身近に見ているので、年をとるのがまったく怖くありません」

(株)でん六について、簡単にご説明願います。

松木 山形市に本社をおき、山形市と上山市の2か所に工場のある菓子製造・販売会社です。社名にもなっている「でん六豆」が代表的なお菓子で、豆菓子やバタピー、甘納豆、チョコレート、おつまみなどの商品があります。
 上山市の工場からは、四季折々に表情を変える雄大な蔵王が眺められるんですよ。

 社名の「でん六」は、創業者の鈴木傳六が「でんろくさん、でんろくさん」と呼ばれ、慕われていたことに由来します。

品質管理課長を務めてこられました。

松木 品質管理課に異動後の1年間、ISO 9001を取得するための事務局を担当し、2年目からは実務に携わるようになりました。
 その頃は、狂牛病やO-157による食中毒事件、遺伝子組換問題など、立て続けに食品問題が発生し、トレーサビリティがしっかりできるようにしなければならないという気運が高まっていた時期でした。

 そうした問題が発生しますと、すぐに取引先から問合わせが入ります。残留農薬の問題が報道された時には、問題を起こしたメーカーの原材料を使っていないかを確認し、工場内で同じようなことが起きないかについても細かくチェックしました。大丈夫なことを確認したうえでなければお客様に説明はできません。すべて調査して確認し、問題を見つけた箇所は整備や改善に取り組みました。
 アレルギー物質を含む食品の表示が義務化された時は、複合原材料(2種類以上の原材料からなる中間原材料)の3次原材料まで確認が必要でした。当時は現在のようにコンピュータでシステム化されていなかったので、手書きの調査票が送られてきたこともあります。間違いがないよう、一つずつ調べていくところから取り組みました。

 当社は大手流通会社の委託商品も生産していますので、そうした取引先の方もよく工場視察に来られます。私はその対応にもあたっていましたので、ご指摘されたり、要望されたりすることについても、調査し改善していきました。流通の方は、私たちメーカーよりもお客様に近いところにいらっしゃるので、視察に来られる方々を通して、今お客様が気にしていらっしゃることを知ることができ、非常に勉強になりました。

 食品についての問題が毎年のように発生し報道されるなか、会社も工場も、原材料や製品、工程などをしっかり管理しなければならないと身にしみて感じました。自社で問題が発生しないように対策に取り組んでいるうちに書類や工程などが見直され、工場がレベルアップしてきていることを実感できた時期でもありました。

会社全体を調査されたのですか。

松木 はい。工場視察にいらっしゃった取引先の方と質疑応答するなか、気を付けなければいけない箇所がわかってきましたし、アドバイスをいただくこともあり、会社全体を見ることになりました。専門知識が必要なところは業者に作業を依頼したり、指導してもらったりしました。
 改善が必要と分かった事項を提案し、会社の承認を得て実行しました。品質管理課の係長時は、直属の上司が役員でしたが、品質管理に関する理解があり、比較的やりやすかったのかもしれません。保健所や取引先の指摘も改善の突破口になりました。

食品の品質管理は、少なからぬプレッシャーがかかりそうです。

松木 日々製造しているものを検査し、合格 / 不合格を判断する立場でもありました。私が「ダメです」と言うと、トン単位の商品が全部廃棄になるというプレッシャー、緊張感は常にありましたね。
 また取引先からの指摘も、時にプレッシャーになりました。工程管理ができているか。間違いない原料を使っているか。異物混入対策としてどのようなことをしているか。そうした疑問を一つひとつ、解消していきました。
 虫などは、お客様にとって絶対に入っていてはいけないものですので、防虫コンサルタントのアドバイスに従って改善を進めていきました。おかげさまで、大規模な回収を伴うような事故の発生はありません。

その後、お客様情報センター長に。

松木 はい。辞令をいただいた時、私は話すのが苦手ですので、務まるか心配しました。
 当時は女性の管理職が珍しかった時代で、年配の男性のお客様から「責任者と替わってくれ」と要望され、私が出ていくと「えっ。男はいないのか」と驚かれることも多かったです。時間をかけ、丁寧に説明することを心がけました。

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