代表理事として、ご苦労されている点は?
藤井 収益化です。持続可能にするには、運営していくための資金がいります。収益化をどこまでできるかにいちばん苦心しています。
今、セミナーや講演会の参加者は1回、100名ほど。参加者や会員を増やし、収益事業を軌道にのせていきたいです。
「TEAM EXPO 2025 共創チャレンジ」にも参加されています。
藤井 はい。2025年の大阪・関西万博に向けた活動として「TEAM EXPO 2025」というSDGs達成を目指す「共創パートナー・共創チャレンジ」プログラムに応募しました。
「SDGsを達成するために、私たちはこういう活動を行います」と申請して、よければ承認・登録されるんですよ。私たちは「みんなで創る『QOLフェロー検定』1000問チャレンジ」として登録しています。SDGsの達成につながる、QOLを上げたりウェルビーイングになるための設問をまとめたものです。
設問を作るにはいろいろ学ばなければならないので、自身のQOLや健康、幸せなど、どのようにすればよりよく生きられるかをたくさんの人が考えるきっかけになると考え、健康経営優良法人などの企業、学校や団体など、あらゆる方面にお願いをしています。
来年の3月末までに集まった設問をシステムにまとめ、実際に検定として登場させる予定です。着々と設問が集まってきています。
では、消費生活アドバイザーについて。取得されたきっかけは?
藤井 お客様相談室長時に取得しました。ホテルはサービス業ですので、お客様相談室にずいぶんといろいろなご意見やお小言が寄せられます。それで(公社)消費者関連専門家会議(ACAP)のセミナーに参加させていただき、消費生活アドバイザーの存在を知りました。
会社からの勧奨ではなく、自分の考えで取得を目指しました。まわりに取得者もいなかったです。ホテル・飲食といったサービス業の消費生活アドバイザー資格者は少ないのではないでしょうか。
16の幅広い試験科目を学び、たいへんためになりました。最新の法律知識や企業経営におけるマーケティング戦略など、今まで学んできたことを改めて身につけることができました。幅広い試験分野は、高齢者のリテラシーを高めることにもなると思います。
会社には推奨資格の合格者に対して取得祝い金制度があるのですが、当時、そこに消費生活アドバイザーは入っていませんでした。調理師やサービス、ホスピタリティ、設備保守など、業務に直結する資格は入っていましたけれど。人事部に「これほどよい資格が入ってないのはどういうことか、ぜひ入れるべき」といった提案書を出し、現在は入っています。
ところで、パラレルキャリアを意識されたのは、いつ頃でしょうか?
藤井 意識したのは55歳の時です。先ほどお話したように、実際にスタートしたのは60歳、社団法人を立ち上げた2019年です。
社会人人生の50〜60歳の頃というのは、退職後をいろいろ考える時期だと思います。社会貢献のボランティア活動など、どんな活動でも、会社と違う組織で交流したり、ふだん会えないような方々と会ったりすることで、本業にも相乗効果があるはず。イノベーションも生み出しますし、新たな価値にも気づきます。今まさしく、その効果から政府が副業を推進しています。
行動経済学でいうところの「ナッジ(nudge)」になる。ひじや背中を押してその気にさせてくれたり、ちょっとした行動変容に移りやすいようにしてくれます。一般社団法人という「場」が得られたのも、パラレルキャリアのおかげです。
私の場合、60歳の時には、もう一つ大きな出来事がありました。1か月の特別休暇が与えられたのです。その過ごし方として、自分で「学びとつながり」というテーマを決め、やりたいこと50項目のTO DOリストを作りました。そこでまず、「学びと交流」をコンセプトにしている大阪ビジネスパークの中にあるコワーキングスペース「OBPアカデミア」の会員になりました。
「学び」は、OBPアカデミアが開催している講座のどこかを足掛かりにして学ぼう。「つながり」は、今までお世話になった小学校・中学校・高校・大学・会社・事業所の方々に連絡をして同窓会のきっかけをつくろう。
そんなように、一つひとつやりたいことを50項目挙げました。まだ3個くらいはできていないのですが。
2つの「場」で活動するパワー源は何だったのでしょうか。
藤井 私がいままで出会った方で、今も敬愛している西亀 真さんという方がいます。
会社員人生を送られていた47歳の時に病気で両目の視力を失われ、「幸せの入り口屋」という活動をご自身でなさっています。「人それぞれ、みなさん幸せの入り口がある。その見つけ方のお手伝いをする」が、西亀さんのポリシーです。視力を失われても、お一人で全国47都道府県を旅行され、アメリカに行かれたり、塾を開いたり、本を出版されたり、ウクレレなどの音楽活動もされています。なかでも人気の心眼塾は、卒業生が18期くらいまでいらっしゃるのかな。
この1月に西亀さんとコラボし、「盲導犬『シエル』と共に生きる」という演目で講演会を開きました。
こうした敬愛する方が何人もいます。そういう方々からの刺激が、私のパワーの源かもしれません。社団法人の活動を通じて、定年後も普段ではお目にかかれない方と出会えます。突拍子もない方々との出会いは、本当に楽しいです。
今後、「クオリティ・オブ・ライフ推進機構」として取り組みたいことは?
藤井 「幸せの入り口屋」さんとコラボしたセミナーを続けていきたいです。今の社会はストレスが多いですし、メンタルヘルスでご苦労されている方が多いように思います。失明されても「今がいちばん幸せです」とおっしゃる方のお話は、何度聞いても、私自身も「こうありたいな」と思います。
大阪観光局の賛助会員にもなっています。知らない場所に行って、その土地ならではの自然や文化にふれ、食べ物などを味わうガストロノミーウォーキング、旅行などもQOLがアップする体験ですので実施していきたいです。
大学や任意団体とのコラボも計画しています。多様な方々とのコラボは、特に進めていきたいところです。
また、ブログに「高齢者が気をつけたい特殊詐欺・消費者トラブルについて」と国民生活センターの資料をもとにして書いています。消費者トラブルについて継続的に発信し、いずれは電子書籍にしていきたいと思っています。消費生活アドバイザー資格を取得したからこそできる活動ですね。
いろいろな活動を通じて、年を重ねても学習習慣を維持する場を作り、またコラボを通じて普段出会えないような人たちとつながり会話する。それによって元気を保てると思います。仲間がいると楽しいです。
最後に、パラレルキャリアを検討している方へのメッセージをお願いいたします。
藤井 余暇の時間をちょっと使うだけでできますので、ぜひおすすめしたい働き方の一つです。「自ら考え行動する」という気持ちさえあれば、年齢に関係なく誰でも挑戦することができます。
「ゼロを1にする」のはハードルが高いですけれど、スタートしておいて、「1から2」は簡単にできますので、挑戦されてはいかがでしょうか。
(取材:2023年11月13日)
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