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活躍する消費生活アドバイザー

福田 登代子さん

2021年「ベスト消費者サポーター章」を受章。現在はエシカル消費推進にも力を入れています

福田 登代子さん(消費生活アドバイザー18期)
NPO法人コンシューマーズサポート鳥取 元副理事長 / 消費生活相談員

1993〜1995年に米子市消費生活相談室相談員、1996年より鳥取県消費生活センター相談員等を務めている。2012年にNPO法人コンシューマーズサポート鳥取の設立に参画し、8年間、副理事長を務めるとともに、職員として相談・啓発業務に携わり現在に至る。2017〜2022年、鳥取県消費者教育推進地域協議会委員。2021年度消費者支援功労者表彰「ベスト消費者サポーター章」を受章。NACS鳥取分科会(「鳥取県の会」)代表。
趣味はガーデニングと家庭菜園。「パンジーは種から育て、今年は玉ねぎも苗づくりから挑戦!」。最近は、初心者ながらサイクリング大会に初参加し山岳コースのある70qを完走。

消費生活相談員をされて30年になられますね。勤務先の消費生活センターの様子を教えてください。

福田 そうですね。最初に勤務したのは米子市役所の消費生活相談室です。そこは、鳥取県内の市町村で初めて設置された消費生活相談窓口でした。子どもが幼かったこともあって、2年で退職しました。
 でもそれから10か月後、鳥取県消費生活センターが相談員の募集をしているのを知り、「やはり相談員の仕事をしたい」と応募、非常勤職員として勤務することになりました。

 現在、鳥取県消費生活センターでは、相談体制をより充実させるため、土日も相談を受け付けたり、必要に応じて市町村に助言したり相談案件を引き継ぐなど、相談対応の連携・支援を行っています。
 また、消費者への啓発強化の一環として、エシカル消費推進に重点を置いており、カカオを運ぶ少年の等身大の人形を展示したり啓発講座に貸し出したりするほか、エシカルソングやダンスも作成し動画を公開しています。
 さらに今年度、若者を対象に「若者が消費者トラブルに遭わないために」というテーマで動画コンテストも行っています。

現在は、NPO法人職員の立場で相談にあたっているのですね。

福田 はい。2012年に、県の方針で消費生活相談員をおもな会員とするNPO法人コンシューマーズサポート鳥取を設立しました。設立に賛同する相談員で手続きを進め、新年度より業務を開始しました。私も県の非常勤職員から法人職員になりました。

 元非常勤の相談員と新たに加わった相談員の組織ですが、NPO法人経営の経験者はいませんでした。理事長に元消費生活センター所長を迎え、県と折衝したり運営方針の指導を受けながら、共に業務を遂行してきました。
 振り返れば、相談員業務をしながら、NPO法人設立時から8年間、副理事長という立場で、経験したことのないさまざまな壁にぶつかり、「苦しいこともたくさんあったな」と思いますが、人生で「濃い時期」でしたね。

 現在、コンシューマーズサポート鳥取は、県から相談業務、市町村から相談・啓発業務の委託を受けています。勤務地は県消費生活センターが多いですが、1か月に数日は、町役場の相談窓口に勤務しています。そういった活動を現在は13人の相談員で行っています。

 町役場の勤務では、相談件数は少ないですが、広報原稿を作成したり、身近な集会所まで出向いて講座をすることもあります。知らなかった地域に出掛けたり、近い距離で地域の皆さんと接したりすることができ、楽しいひと時です。

そもそも相談員に就かれたきっかけは?

福田 消費生活相談員に関心をもったのは、米子市で消費生活モニターになったことです。1年間、消費生活のさまざまな研修を受けたり、ごみ処理施設、クリーニング店の見学に出かけたりしました。
 当時はまだ20代で子育て真っ最中、生活知識の乏しい私には刺激的でした。そこで、モニター制度の担当者で、大先輩の消費生活相談員さん(消費生活アドバイザー)に指導を受けたことがきっかけとなりました。
 「消費生活に関することを学ぶと、自分の暮らしに役に立つ、知識や視野が広がる。そして、困った人を助けることができる」。そうした分野の仕事があることを知り、ぜひ、携わりたいと思いました。

30年間で大きく変わったと感じていること、印象に残っている相談内容などは?

福田 近年の相談は、情報通信ネットワークの発達にともない、インターネットやスマホの利用に関わる相談の割合がとても多くなっています。
 ネット通販、副業、定期購入、クレジットカードの不正使用、出会い系サイト、架空請求など、詐欺的な被害の相談もたくさんあります。

 情報通信が普及していない頃は、訪問販売、電話勧誘販売のトラブルが目立っていました。
 特に印象に残っているのは、もう20年以上前のことですが、高齢者がターゲットにされていた悪質な布団の訪問販売です。
 本人は解約を希望していたのですが、クーリングオフ期間が過ぎていたので、解約は容易ではありません。販売店には契約書の交付義務がありますが、本人は「受け取った覚えはない」とのこと。渡されていないのか? なくしてしまったのか? 釈然としないままでいたところ、同じ販売店について別の相談が入りました。
 通常は自宅に出向くことはないのですが、状況確認が必要と思い、センター職員の理解を得て自宅に出向きました。そして、商品や受取書面を確認したところ、手渡しをしなければならない契約書が、取扱説明書のビニールカバーの間に折り畳まれて挟んであったのを見つけました。
 販売店の悪質な販売行為がわかり、この方の数十万円の契約のほか、別の方の契約についても、解除をすることができました。

相談員としてのやりがいや心掛けておられることは?

福田 トラブルに遭い、落ち込んで相談された方が、被害回復もでき解決して喜んでくださった時、私も一緒に嬉しいです。
 私は解決のために一緒に考え、相談者の支援をしていく仕事をしていますが、法的専門家でも代理人でもない行政の相談員ですので、強制力や権限があるわけではありません。限界もあり、解決できないこともあります。時には相談対応や処理がうまくいかず、落ち込むこともあります。
 それでも続けているのは、お役に立てた時の「ありがとう」の言葉があるからです。
 困って悩んでいらっしゃる皆さんが、気軽に利用できる窓口となるように話しやすく、できる範囲でていねいな対応を心掛けています。

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