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活躍する消費生活アドバイザー

15年以上、相談業務にあたられています。重視していることなどは?

山口 まずは、目の前のトラブルを解決することに注力します。そのため「契約のどのような点が法的な問題にふれるのか」などと、法律知識を使いながら、業者と交渉できる点を探します。
 相談には、一つとして同じ相談はありません。相談される人の生活状況によっても違いますし、契約状況もみんな違います。トラブルの状況を丁寧に聞き取ること、それが相談の基本であると思います。経験年数を積んでも、その基本を忘れないことが大切だと思っています。
 特にご高齢の方は、認知機能が衰えると、何度も同じ手口でだまされることもあります。「だまされた自分が悪い」という気持ちが強くて、なかなか相談されなかったり、相談してくださっても、「自分のせいだから‥」などと言われることがあります。それには「決してそんなことはない。きちんと解決することが重要」とお伝えし、相談してもらいやすい雰囲気を作るようにしております。

 また、せっかくご相談いただいても、中には対応できないこともあります。その場合は、相談者が過度な期待をされないよう、言葉を選びながら、できないことをはっきり伝えるようにしています。ただ、そのような時は、本当に言葉選びや言い方は難しいですね。

 消費者はもっとよく考えて買い物をしてほしい、賢くなってほしいと思いながら相談にあたっています。広告などに踊らされることなく、商品やサービスを選択する冷静さが重要だと日々痛感しております。

近年の消費者相談で、大きく変化したと思われることは?

山口 「消費行動のきっかけがインターネット!」という相談が多く見受けられるようになりました。インターネットによる購入では、販売側と会話していないため、消費者が契約内容について、自分の都合のいいように思い込んでしまっているケースも見受けられます。
 また、流通も変わりました。インターネットで注文すると、翌日に届きます。注文当日に届く品物もありますし、不在の場合には置き配もしてくれるようになりました。
 そういった利便性に引っ張られて、商品を購入する際に「吟味する」ことが少なくなり、それによる消費者トラブルもたくさん発生していると思います。
 かつては、「特定商取引法違反の可能性が高いです」「これはクーリングオフできます」と法律の内容をもとに相談に応える機会が多くありました。しかし最近は、消費者と事業者の間で「言った、言わない」「書いている、書いてない」といった、法律をもとにジャッジできないトラブルが増えたように思います。

 さらにもう一つ大きな変化としては、相談員にもネット知識が必要になってきています。消費者庁も消費生活相談等のDX(デジタルトランスフォーメンション)化を検討していますけれど、相談員がそれに対応できるのかという問題も出てくるのではないかと思います。

住宅情報誌のライターをされていたことも?

山口 はい。出産時にパナソニックを退社してから、子育て中も社会と関わっていたく、大手広告代理店の住宅部門で委託契約ライターを10年ほどしていました。

 委託契約ライターは、「この日に取材し、この日までに納品しなさい」と最初と最後が決められているだけで、それを外さなければ、どこで仕事をしてもよいという条件での契約でした。当時、先方への取材は子どもたちが幼稚園に行っている午前中に、そして子どもが帰ってくる2時頃にまでには家に戻り、子どもと一緒の時間を過ごす。そして子どもを寝かせた後に原稿書き、といった生活をしていました。締切りに追い立てられ、徹夜に近い日もあり、しんどさもありましたが、時間を上手く使って仕事をしているという充実感がありました。

住宅は、誇大広告が問題になることがありますが。

山口 委託契約先の大手広告代理店は、広告に対する規定は景品表示法だけでなく、とても厳しい自社規定をも守りながら広告を作らなければなりませんでした。そのような厳しい制限を守りながらも、クライアントの住宅が売れるよう、消費者にいかに物件の魅力を伝えていくかに苦労しました。
 苦労した広告に書かれている細かい販売条件を確認することなく、住宅という人生における大きな買い物をする消費者が多くいることもこの時代に知りました。そのたびに、消費者も賢く買い物をするべきだと感じました。
 加えて、消費者が賢い買い物をすることや、トラブルに遭った際に上手く解決するために消費生活センターの役割は大きいと考えることもありました。
 「賢い消費者になってほしい」という思いが強くなるに従い、消費生活センターの相談員という仕事に魅力を感じるようになりました。

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