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活躍する消費生活アドバイザー

1998年の連載企画「女たちの静かな革命」で取材記者をされていました。

「女たちの静かな革命」

中村 はい。経済部や政治部、社会部、文化部などから記者が集まった企画チームによる連載です。そのメンバーに入り、記事を書きました。

 表紙に「『個』の時代が始まる」とありますね。この企画は、戦後の高度成長期は会社組織の一員として自分の生き方を導き出すのが当たり前だったのですが、これからの時代はまず自分という「個」があって、そこから家庭や地域や企業との関係を築き上げていく「変化の時代」なのではないだろうか、といった前提に基づいて取材をしていました。

強く印象に残っている内容は?

中村 いろいろありますが、「墓は一つひとつ」という記事を挙げましょうか。これまでは夫の墓に入るのが一般的だったけれども、自分一人の墓をもちたい人が出てきたという内容です。当時、私はまだ20代で、家族をもっていなかったのですけれども、「なるほど、『個』の時代とはそういうことなのか」と思いました。

 私自身が取材した内容では、「海外で産む女性」です。この頃から、「変われない日本」といわれ、「このままでは自分の居場所はない。娘や息子がイキイキと生きられるような日本にはならないのではないか」と、ハワイなどで出産しアメリカの国籍を取得し、いざとなったら向こうで育てる。そういった、必ずしも国にすべてをゆだねない生き方をする女性を取材しました。
 20代後半の自分自身のキャリアを考えるうえでとても勉強になった企画でした。

 また、70歳を超えて起業するおばあさんたちの「ばあちゃんパワー」。彼女たちは廃棄される農作物をなんとか使えないかと加工し、味噌などを販売しはじめました。働き者で、水一滴も無駄にしない倹約精神があって収益性も高く、ビジネスがうまくいっている。
 男女に能力の違いがあるとは思わないのですけれど、育ってきた環境によって考え方は違います。「そういった違いが活きる時代になるのかも」と学ぶところがありました。

それから25年たちましたが、女性を取り巻く環境はあまり変わってないように見えます。

中村 その当時も、バブルがとうに過ぎているにもかかわらず「変われない日本」といわれていました。この企画では、少子化や転勤問題、選択的夫婦別姓も取り上げました。

 これらの記事が本にまとめられ出版された1998年は、バブルが崩壊し山一証券が自主廃業を発表した翌年です。取材している最中にそのニュースが入ってきました。「こんな大企業が…」と思う会社が消えていく時代ですから、「変わらなきゃいけないよね」と。
 既存の経済社会システム内で活動している男性は変わりにくいですが、その周辺にいた女性から変わりはじめている。この動きを見過ごしてはいけない。そういった記事を書いたのですけれども、あまり変わらなかったですね。

どうして変わらなかったのでしょう。

中村 それだけの余力が、日本にあったのだろうと思ったりもします。
 この時代は、海外もジェンダーなどの問題に関しては日本と同様の状態だったと思います。この30年間でぐっと差がついてしまった。
 当時からアイスランドやスウェーデンが素晴らしかったのではなく、この時期に立ち上がったり、変わろうとした国と、そのままだった国の差が30年後に歴然と出てきた。この意味では、非常に学ぶところが多いです。
 あの時代に、もう少し多くの人がこの本を読んでくれていたら、と思います。

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