TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 資格活用への取組み > 富士フイルム(株) インタビュー記事2

資格活用への取組み

■CS推進室の組織と役割

 CS推進室は、コールセンターCS推進グループ、そして事業CS推進グループの二つのグループより成る。

 まず、コールセンターCS推進グループ。関係会社が運営するコールセンターの応対品質評価とKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)管理、教育研修を担当している。KPIの項目は、過去からの積上げや他社の項目を参考に設定。応対の迅速性、効率性、回答内容の的確性などがある。

 イメージング製品のコールセンターでは、半期に1回、オペレーター全員を対象として電話応対事例を1人3件ピックアップし、外部の専任者によるモニタリング評価を実施している。結果は、一人ひとりに面接をしてフィードバックされている。

 メールや書簡については、CS推進室のメンバーが講師となって文章品質向上セミナーを実施している。また、半期に1回、オペレーターが作成した回答事例を1人3件提出してもらい、CS推進室評価チームのメンバーがそれを評価し、評価結果を添削事例とともに一人ひとりにフィードバックしている。

 「KPI管理が、ようやく軌道に乗ってきた感じです。とくに電話応対のモニタリングスコアは、最初は30点満点中10点ぐらいだった平均数値が、20点を上回るコールセンターも出てきています。優秀な契約社員のなかには正社員に登用される方もいます」と木村マネージャー。応対品質向上のPDCAサイクルが着実に回りはじめた手ごたえを感じている。

 応対品質の客観的な評価により問題が明らかになることで、どういうことが求められているかが「見える化」される。自分の役割が明確になり、業務に取り組みやすくなるわけだ。さらに、各コールセンターの管理者によるフォローも行われる。また、各コールセンターが同一基準に基づいて改善に取り組むことにより、ノウハウが標準化され、応対品質レベルの全体的な底上げを図ることができる。

 次に、事業CS推進グループ。その役割は、大きく三つある。

 一つ目は、各事業のCSレベルの調査・分析を行い、課題を見つけ、改善策を検討・提案していくことである。コールセンターのVOC(Voice of Customer)分析や外部機関のCS調査データの入手・分析を行い、結果をCS月報等にまとめて関連部門へ発信している。

 二つ目は、ISO10002(苦情対応マネジメントシステム)の適合推進である。このシステムの枠組みを活用して、苦情対応を含むお客様応対品質を高める活動を展開している。ISO10002は、現在国内で約90社が導入している国際規格だが、富士フイルムでは2006年にいち早く自己適合宣言を行った。

 三つ目は、グループ全社にCS重視の風土を根付かせることである。たとえば、株主からの問合せに応対するIR室に対してもCS研修を行っている。また、お客様志向の人材を増やす手段の一つとして、消費生活アドバイザーの資格取得者の拡大にも取り組んでいる。

■お客様の声を活かす仕組みは?

 国内BtoC製品のお客様応対には以下の窓口がある。

  • ・お客様コミュニケーションセンター(CCC)
  • ・フジフイルムスクエア(本社1Fにある製品ショールーム)
  • ・ヘルスケアラボラトリーコールセンター(化粧品などの通信販売の受注、問合せに対応)
  • ・技術サポートセンター(デジタルカメラやネットプリントなどの技術的な相談に対応)
  • ・サービスステーション(カメラ等の修理受付窓口)
  • ・国内営業部門/国内販売会社

 これらの窓口への年間アクセスは約190万件で、その半分以上をヘルスケアコールセンターが占めている。

 各窓口に寄せられたお客様の声は、「データベース化」→「経営トップや営業・販売、デザイン、研究・開発といった関連部門の部門長に報告」→「お客様の声を反映した製品・サービスの改善」や「新しい製品やサービスの開発」につなげている。

▲TOP