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資格活用への取組み

トップダウンでお客様満足度の向上に取り組む

ミサワホーム株式会社 CS 推進部

1997(平成9)年度に通商産業大臣(現経済産業大臣)より消費者志向優良企業として表彰(総合表彰)されたハウスメーカーのミサワホーム株式会社は、現在取り組んでいる中長期経営ビジョンにおいて「お客様満足の徹底追求」を掲げている。今回、同社CS推進部長をはじめ部内の各課合わせて5人の方々からお話をうかがうことができた。

■トップダウンのCS向上体制

 お客様相談センター、お客様相談室、そしてCS推進課。いずれも消費者対応部門でよく目にする名称だが、なんと、ミサワホームのCS推進部には、これら三つが顔をそろえている。それぞれの役割は以下のとおり。

  • ・お客様相談センターはコールセンターの運営
  • ・お客様相談室は緊急案件や本社への直接ご相談への対応
  • ・CS推進課はミサワホームグループ全体の顧客満足を向上させるための活動の企画・推進、関連会社等の支援、お客様サポートの仕組みづくりと保証制度のまとめ等

 CS推進部は社長直轄である。集めたCS・品質情報は毎月集計され、トップを含む全役員に定例会議の場で直接提供される。さらに、事故等の緊急案件が発生した場合には、直ちにCS推進部から直接トップに伝えられる。

 また、経営改革委員会で決定された方針に基づいて関連部門の役員・部長からなるCS品質会議が協議、それを受けて担当課長で構成する品質管理会議が具体的な施策を話し合う。ここでの討議で新たな予算が必要になる等、テーマが大きくなった場合にはCS品質会議に上程する。このピラミッド型の会議体で、まさにトップダウンのCS向上体制が整えられている。

■24時間対応のお客様相談センター

 お客様相談センターは24時間365日、電話を受け付けており、全社員の名刺に「ミサワホームは24時間対応です」との一文が記載されている。ここに、お客様の声を積極的に活用しようとする姿勢がうかがわれる。すなわち、お客様相談センターは困りごとの受付窓口であるだけでなく、安全・安心を提供する窓口ともなっている。 「住まい」という商品は、休みなく使用されているものである。「カギをなくした」「水漏れがしている」「エアコンがつかない」といった不具合はいつ起きるかわからない。すぐに対応してもらえることがわかっていれば、安心であろう。

 お客様からの電話は、お住まいのエリアのディーラー(販売・施工会社)に入るものと、お客様相談センターおよびお客様相談室に入るものの2種類がある。ディーラーの休業日や夜間等にかけられた電話は自動的にお客様相談センターに転送されるようになっている。 お客様相談センターのコールデスクでは、4人のスーパーバイザーが19人のコミュニケーター(オペレーター)をサポートし、電話に応対している。応対者の判断により、技術的な問題はテクニカルアドバイザー8人で構成されるサポートデスクに、また内容が込み入っている場合や法的な問題にかかわる場合にはお客様相談室に、そして保証に関する相談はCS推進課に、それぞれ電話が転送される。

 お客様相談センターに寄せられる件数は通常は月間約3,000件だが、季節や天候要因による波が大きい。台風等の自然災害とディーラーの休日とが重なると、5,000件に上ることも。年末年始等、長期休暇で家にいる時間が長く、大掃除等をした際に目について連絡してくることも多いそうである。

 同CS推進部の飯田達夫部長は、「ご相談では、ディーラーのアフターメンテナンスに関するものが圧倒的な数を占めます。ドアの開け閉めがしにくい、フローリングで異音がするといった内容です。こうしたアフターメンテナンスは、現在はディーラーでも受け付けておりますが、今後の方向としてはこちらで全部を引き受け、全国の声を一元管理していきたいと考えています」と語る。

■CS品質情報を商品開発に活かす

 CS品質の情報が入ってくるルートには、お客様へのアンケート、お客様相談センターへの電話、ディーラーが受け付けたアフターメンテナンス、ディーラーからの不具合連絡や改善提案書等がある。

 アンケートは、お客様に直接送られる「お伺い書」というもの。住みはじめてまもなくの3か月目と、春夏秋冬を経験した1年目の2回、担当者の対応や住み心地、出来栄え、サービス等について満足度をたずね、集計・分析する。

 この結果は、商品の弱点の発見や改善等につなげることもできる。たとえば、入居1年目のアンケートで「浴室の排水溝が掃除しにくい」という指摘が多数寄せられたことがあった。短い格子(こうし)がタテにたくさん並んでいたために、お客様はその格子を一つひとつ洗わなくてはならず、不便を感じていた。これは格子を横にする形状に変更し改善した。

 また、「夏、暑かった」という回答が多かったとする。間取りの傾向を分析し設計や技術部門に伝えることで、新しい商品をよりよいものにできる。

 「お客様の声を開発部門や技術部門に届け、商品開発につなげることも、CS 推進部の役割だと考えています」(飯田部長)

 さらに、アンケートで評価が低かったディーラーには改善を求めるとともに、評価の高かったディーラーに対しては表彰を行う。アンケートを起点として、住まいづくりのPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルをつくっているわけである。

 不具合情報というのは、使用した部材や部品等に発生した不具合のことである。それについては品質企画部が是正や現場対応の指示等を行う。たとえば、ドアの開け閉めの不具合であれば、それは部材の問題なのか、取付け方の問題なのか。部材に問題があったのであれば、直ちに交換品を送るように担当部署に依頼し、一連の対応をCS品質会議に報告する。ここでも、再発防止のためにPDCAサイクルを順に実施し、部材・部品の品質向上を図っている。

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