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特集記事

マスター消費生活アドバイザー 座談会抄録

2024年8月21日、昭和女子大学(東京都世田谷区)にてマスター消費生活アドバイザーの座談会が開催されました。2019年の制度創設から15名に達した資格者のうち12名(オンライン参加も含む)が、取得年度や指定大学院の枠を超えて語り合いました。

  • 【来賓】
    消費者庁地方協力課 課長補佐 内田 康太郎 氏
  • 【座談会ファシリテーター】
    法政大学大学院 准教授 柿野 成美 氏
    (明治大学専門職大学院兼任講師、昭和女子大学専門職大学院非常勤講師)
  • 【指定大学院教員】
  • 昭和女子大学 専門職大学院
    粕谷 美砂子 氏(大学院 教授)
    飛田 史和 氏(大学院 特任教授)
    加納 克利 氏(大学院 教授)
    太田 行信 氏(大学院 特命教授)
  • 明治学院大学大学院
    来住野 究(きしの きわむ) 氏(法と経営学研究科 教授)
  • 同志社大学大学院 ※オンライン参加
    武蔵(むさし)勝宏 氏(総合政策科学研究科 教授)
会場写真

学びを何に活かしているか / 活かしたいか、これからやってみたいこと

【自己紹介、50音順で掲載】

石川 恵美子 さん
(明治大学専門職大学院、2022年12月登録)

 現在は、ADR(紛争解決委員会)に在籍しています。
 大学院で学ぶまでは消費者目線で考えることが中心でしたが、消費者教育や消費者被害をなくすという観点からみると、高齢者福祉や行政との連携が求められており、その理解が大事なのではないかと考えるようになりました。こうした視点を得られたことに、学びが活かせていると思います。

市川 篤子 さん
(明治大学専門職大学院、2024年6月登録)

 まだ修了したばかりで資格を活かした仕事に就いておりません。ほかのマスター消費生活アドバイザー(以下、マスアド)の皆さんが、どういうところで、どういう方向性で動いていこうと思っているのか、今後資格を有効に使っていくために学んでいきたいと思っています。

伊藤 直子 さん
(昭和女子大学大学院、2022年12月登録)

 現在、関東一円で調剤薬局を約150店舗運営している会社の管理部門に勤めていて、お客様に直接お会いする業務がなく学びを活かせていない状況です。
 一般的に消費生活アドバイザーは苦情や相談の窓口を担当する方というイメージを多くもたれてしまうのは、何か違うのではないかと思っており、「もっと個人の消費活動に対して幅広い発信力がある資格」なのではと考えています。では、どういった発信をしていくべきなのかとなりますが、私としては安全な消費活動を支援し安心な社会生活の構築に寄与していく役割を踏まえて、消費者志向経営やSDGsの研究を進めることによって論文等で発信していきたいと考えています。
 また、関連した実践活動も進めていきたいと思っています。

遠藤 美紀子 さん
(昭和女子大学専門職大学院、2024年6月登録)

 損害保険会社に40年ほど勤め、長く営業の第一線で仕事をしてきました。
 現場でお客様の厳しいご意見をうかがい、日々鬱積する「そもそも契約ってなんだろう?」といった思いを学びにつなげたい、また「セカンドライフを見据えた学びをしたい」との思いもあり、履修しました。

柿沼 由佳 さん ※オンライン参加
(明治大学専門職大学院、2022年12月登録)

 現在、消費生活センターで消費生活相談員として日々悪質事業者と交渉している状況です。
 大学院での研究テーマは、一生を通じて消費者がデジタルを利活用することについてでした。「デジタル・ジェロントロジー(Gerontology)」という名称を用いて、その定義や今後どのようなことを消費者そして高齢者が考えていけばいいのかを研究しています。

北﨑 裕紀子 さん
(昭和女子大学大学院、2023年6月登録)

 消費生活相談員をしています。また、行政や消費者団体から依頼されて学校で派遣講師をしたり、地域コミュニティで子どもや親子向けの消費者教育もしています。
 昭和女子大学の現代ビジネス研究所にも所属し、大学生といっしょにチームを作り、消費者教育についての研究をまとめているところです。

清水 佐和子 さん ※オンライン参加
(昭和女子大学大学院、2023年6月登録)

 地方公務員として30年ほど働き、退職しました。人生100年時代といわれていますが、マルチステージを模索しながら行動している段階です。
 消費者政策や中小企業の支援に携わった経験があり、「消費生活は社会全般に関わる」という思いがありました。また中小企業の消費者志向経営に関心があったことから、大学院で専門的に学びなおし、マスアドに登録させていただきました。

須黒 真寿美 さん ※オンライン参加
(昭和女子大学大学院、2022年6月登録)

 実は相談員を30年間弱していまして、なんでもわかっている気になっていたのですが、大学院で学び、事業者の方や年代の違う方、いろいろな立場のご意見を聞くことで、「目からウロコ」がたくさんありました。学ぶことの楽しさと、学び続けていくことの大切さも教えていただきました。

田中 克幸 さん ※オンライン参加
(昭和女子大学大学院、2022年6月登録)

 修士論文は「コロナ禍における家庭での食生活の変化」でした。大学院修了後に昭和女子大学の現代ビジネス研究所に入れていただき、今は一研究員として、ときどき学会に出席させていただいています。
 自動車メーカーを退職して大学院に進み、修了後の2022年9月から消費生活センターの消費生活相談員をしています。「企業で働いていた者が相談員になるのはハードルが高いかな」と心配したものの、マスアド資格が多少なりとも効いたのか、受け入れていただきました。丸2年になりますが、日々、消費者からの相談を受けて事業者と話し、難しさを感じています。
 大学院で消費者教育を学び、「消費者の自立」を考え、少しでも教育・啓発をわかっていただこうと、相談に来られる方にお話させていただいています。消費者団体が主催する高齢者対象講座の講師もしています。
 私は、マスアドの活躍の場として、「消費者教育コーディネーターの仕事があるのでは」と考えています。

田中 義雄 さん
(昭和女子大学大学院、2023年6月登録)

 入学時は某電気メーカーの社員だったのですけれど、途中で「勉強に専念しよう!」と会社を辞め、修士論文を書き上げました。
 現在は、消費者関連専門家会議(ACAP)で活動をしています。
 「社会人・企業人の消費者教育」というテーマの講師として、企業とのつながりをもちたいと思っています。

藤井 檀(まゆみ)さん
(昭和女子大学大学院、2022年12月登録)

 消費者教育について学びたくて入学しました。入学時は自治体の消費生活相談員をしていたのですけれど、入学後に転職をし、現在は消費者団体訴訟制度等に関する仕事に就いています。また、休日に地域での出前講座の講師もしています。
 転職後に取得しましたので、マスアド資格そのものが何か効き目を発揮したことは現在のところありません。ただ現在の任期が終わった時のことを常に考えておかなければなりません。この次のキャリアにどう活かせるのか、本日お話を聞きながら考えていきたいと思っています。

山地 理恵 さん ※オンライン参加
(昭和女子大学大学院、2022年6月登録)

 私が考えるマスアドは、取得によって「何かが変わる」というよりも、「自分の中の引き出しが増える」資格です。ここ2~3年でようやく実感してきたところですが。
 また自分が歩いてきた道が、「これからのマスアドの道筋になればいいな」とも感じています。
 修士論文のテーマは、「消費者と標準化」です。それだけでは提案に至らないような消費者の気づきであったり、ヒヤリハットをどのように行政や事業者に届けるか、「わかりやすく伝える力」という引き出しを鍛えていただいたと感じています。
 昭和女子大学の現代ビジネス研究所研究員でもあり、なんとか今年じゅうに学生さんとのプロジェクトを実施しようと調整中です。
 現在は消費生活相談員としても働いており、NACSでは本部広報委員長を務めています。