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活躍する消費生活アドバイザー

当時の業務で資格取得が役立ったことは?

奥原 消費生活センターを訪問する際、消費生活アドバイザーであることで一定の評価をしていただけたことがとても嬉しかったですね。
 事業者の取組みや企業姿勢を理解していただくのは、問題が多発している業界等では困難なことも少なくありません。資格を通じて双方の問題意識とゴールが共有されることで、消費者にとって適切な解決策や事業者が参考とすべきたくさんのことを学ばせていただきました。
 その結果、社内ルールの改善や社内の意識改革に取り組み、消費者トラブルの削減につなげることができました。

消費者志向、消費者教育、個人情報保護に並行して携わっておられます。消費生活アドバイザーとして心がけていることなどは?

奥原 こうした活動の多様化は、自分でも想定外でした!
 すべての起点は消費生活アドバイザー資格で、世の中がマルチステークホルダー・プロセスの重要性に着目するようになり、「消費者」としての意見を言える人材が活躍する場がより一層広がったのでは、と思っています。
 マルチステークホルダー・プロセスは「持続可能な発展」の議論と深い関わりがあり、1992年の国連リオ・サミットで採択された「アジェンダ21」で、その重要性が示されました。近年、名称はさまざまですが、行政の政策方針や企業の経営方針を決定する際に複数のステークホルダーが参加したマルチステークホルダー・プロセスが導入され、透明性や社会的な信頼性の向上に取り組む動きが見られます。

 消費生活アドバイザーは、「消費者と事業者の架け橋」という役割があると考えています。
 消費者志向、消費者教育、個人情報保護のいずれにおいても、一方からの視点や考え方ではどれも全体最適を目指すことは困難です。すべてに共通しているのは、できるだけ情報の非対称性をなくすことです。そのうえで、自分の中の消費生活アドバイザー目線として、「消費者」の定義をブレないようにすることを大切にしています。
 年齢や地域等の格差、情報化への適合度だけでなく、個々の領域における課題によっても「消費者像」は多様化します。
 まず、「不利益を被る消費者像」とはどのような主体かを客観的に判断し、事業者と消費者、双方が継続的な関係を築いていくにはどうしたらよいかを中立的な立場でアドバイスできるよう心がけています。

継続して発信していきたいことは?

奥原 学生の皆さんへは、社会課題を自分事として捉え、消費者・事業者・行政の3者の視点で考えることです。
 事業者の皆さんへは、企業が考える消費者視点ではなく社会の要請に応えるという視点で考えること、加えて、ますます進展する情報社会に向けて、情報の提供主体となる一人ひとりがリスクに備えることの重要性を、消費生活アドバイザーとして伝えていきたいと考えています。

今後、新たに取り組みたいことは?

奥原 修士号を取得した時点で「博士号まで…」と思っていたのが志半ばとなっているため、ぜひ諦めずにチャレンジしたいですね。

(取材:2021年6月1日)
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