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活躍する消費生活アドバイザー

「働く女性の『三方よし』〜“自分よし・企業よし・社会よし”の視点で生活者を考える〜」ですね。

宮木 女性が働くときに、どこか「家族にすまない」とか「ごめんね」の気持ちをもつジレンマがあります。働くことは悪いことではないはずなのに。
 働くことは、自分のためでも、企業のためでも、社会のためでもある。そうとらえることで、「何かを犠牲にして働いている」という考え方を変えたいと考えました。
 働くことは決して自分や家族を犠牲にしているわけではなく、給与などの点以外に、自己啓発につながったり、子どもに親の頑張る姿を見せられる良い機会になる。従業員が企業の利益のために頑張ることで、社会のためにもなる。そのためには、企業が社会に受け入れられる存在でなければならないので、社員や経営層が積極的に企業を良くしていく。つまり、だれにとっても悪いことはないわけです。

 仕事に時間を取られ、食卓がいまいちになることもありますが、長い目で見るときっとプラスになると信じています。親が嫌々働いている姿ばかり見ていたら、子どもたちは将来働くことに対して前向きにならないと思います。
 働くことは自分にも社会のためにも大切なこと。子どもたちにそう思ってもらいたいという気持ちがあります。

「自分よし」が先にきているのがいいですね。

宮木 結果的に「自分よし」になるのではなくて、まず自分がハッピーに。そしてハッピーな従業員のいる会社や社会もハッピーになる。だから「胸を張って働こう」というメッセージを込めました。
 皆さんからは「『三方よし』が時流に合っている」「わかりやすい」と共感していただけました。

 このテーマは、スキルアップやダイバーシティなど、いろいろな分野で展開できます。
 たとえば日本ヒーブ協議会では昨年、内閣府と男女共同参画推進連携会議との共催でシンポジウム「多様な職場から見える“男女共同参画”の課題とヒント〜生活者視点で目指す消費者志向経営〜」を実施しました。
 女性視点を消費者志向経営に活かしていくといったテーマのもと、女性が自分のために働く、自分の生活者視点を活かすことで、企業や社会をより良く変えていかれるという話ができました。昨年の活動テーマに合致する内容で、社会に情報発信できたと思っています。

昨年4月に女性活躍推進法が施行されましたが、女性活躍の現状をどのように見ていますか。

宮木 以前に比べて進んできたとは思いますが、まだ企業・業界によって、かなり差がある状況だと思います。

 先ほどのシンポジウムのパネラーのお一人が「女性活躍という言葉は好きじゃない」とおっしゃっていました。考えさせられる発言です。
 女性だけ活躍すればいいのか、そもそも男性はすでに十分に活躍できているのか。男女を含めた「生活者」がいかに活躍するかという観点でとらえなければならないと思っています。

 とはいえ、まずは女性が家族に対して「ごめんね」の気持ちをもつことなく堂々と働けるようになることが、まずは、いったんのゴールかもしれません。少なくとも男性は罪悪感をもって働いている感覚はありませんので。

 女性活躍において重要なのは、単に「男女で家事を等配分に」といったことではありません。それぞれの家庭のやり方はありますが、少なくとも両者の不満の度合いに差がない状態にしなければいけない。
 合意の上の役割分担として片方の負担が大きいのはいいんです。9:1であろうと、それを両者が納得していればいい。しかし片方が片方の「犠牲になっている」という意識をもつ社会は望ましくないと思います。
 互いに納得して仕事や家事をできている状況になったらいいと思いますが、まだ十分にそうなっていないですね。

役割分担の話し合いをするテーブルにつくのも難しい気がします。

宮木 地域や年代による属性の差などはありますが、今の10代、20代など、特に若い男性たちが変わってきていると思います。女性が働くのが当たり前で、「家族は自分の稼ぎで…」という意識の男性は減ってきています。

 その時代の経済状況や社会状況によって変動があるとしても、「男性が働き、女性は家庭を守る」といった前近代的な意識に戻ることはないでしょう。
 女性も働くということが当たり前になる。次世代の子どもたちには、男女ともに充実した職業生活を送り、活発な消費生活を送ってほしいと思います。逆にそういう社会でないと経済が発展していきません。経済が発展していかなければ、消費が縮小していき、就職や就労も危うくなり、生活が不安定になります。

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