たくさんの方が利用されているんですね。応援の例にはどのようなものが?
片山 おもなところでは次のようなことがあります。
●家事応援
・食事づくり ・洗濯 ・買い物 ・掃除 ・庭の草ぬき
・産前産後のお手伝い など
●育児応援
・乳幼児・子どものお世話 ・遊び相手 など
●介護応援
・通院の付き添い ・話し相手 ・見守り ・散歩同行 など
●その他
・薬取り ・ペットの世話 ・ゴミ出し分別 ・着付け など
高齢の方から子育て世代の方まで、いろいろな世代の方が利用されています。高齢の方は、介護保険でできないような内容を依頼してこられる方が結構いらっしゃいます。水槽の水を換えてほしいとか、お墓の掃除にいっしょにきてほしいとか。
高齢になると、いろいろなことを少しずつあきらめながら生活するようになってくると思います。でも、誰かに付き添ってもらえば、美術館やデパートに行ったりすることもできます。「テレビコマーシャルにでていた店の牛丼を食べてみたい」などという、困りごとではない、小さな願いも叶えることができます。
おたがいさま高松の活動は、介護保険などの行政サービスと違い、依頼されたことについて査定をしないといいますか、どんな依頼もまずは共感して受け止めます。応援できる人がいたら、なんでもできるという多様性があります。

ある程度、自立して生活されている人が利用できるのがいいですね。
片山 本当にそうです。高齢者に限らず、どの世代の方でも、生活していくうえで一時的に困ることがあると思うんですね。
でもいまは、ご近所とのおつきあいが少なくなってきて、助けてもらえる人が身近にいないことが多いかと。とくに高松は転勤族が多く、子育て中の若いお母さんが、「誰かの手を借りたいのですけれども、知り合いがいませんので」と電話をかけてこられたりします。
マンション暮らしの方も、ご近所とのお付き合いが少なかったりしますが、おたがいさま高松を通じて知り合えたりしています。近くにお住まいの応援者さんに犬の散歩に来てもらい、ご近所づきあいが始まったこともあります。
そうした向こう三軒両隣といった地域づくりの一助になれたらうれしいです。そこに活動の価値の一つがあると思っています。
また安いとはいえ有償ですので、利用者さんも頼むのに引け目を感じなくてすみ、応援者さんにとっては責任もってお手伝いができたうえ、感謝されて励みになる。両方が笑顔になれるような時間を共有できます。
それから、元気な高齢者も非常に増えていますので、もっと活躍できる場があるといいですよね。そういう方たちに、「剪定(せんてい)が得意」「お掃除が得意」「お料理が得意」といった登録をしていただき、応援をしていただく。「人の役に立てる」と喜んで登録してくださる方もたくさんいらっしゃいます。そうした活躍の場を提供できることにも、おたがいさま高松の存在価値があるかと思います。
とくに力を入れている活動は?
片山 私たちの活動は、利用者さんのニーズから始まりますので、とくに中心となる活動はないんですが、いろいろなニーズに応えられる人が必要ですので、応援者さんを増やすような広報活動や呼びかける活動がもっと必要かなと思っています。
それから、手助けがあったら元気に過ごせる方もたくさんいらっしゃるので、そういう方たちにもうちょっと知っていただくような広報活動にも力を入れていきたいです。おたがいさま高松の活動を知らない方が、まだまだたくさんおられます。
社会福祉協議会や市役所、ファミリーサポートセンターで教えてもらって知ったという利用者さんもだいぶ増えてきてはいますが、もっともっとつながれるかなと。
また、おたがいさま高松だけでは対応できないような、専門的な知識・技術が必要なニーズがあったときに専門機関や行政につなげられるようなネットワークを強化していきたいと思います。