宮下さんは1990年に消費生活アドバイザー資格を取得されています。きっかけは?
宮下 学生の頃にヒーブ(HEIB:Home Economists in Business)というアメリカの資格を知ったことでしょうか。ヒーブは、企業内で家政学の知識を活かし、消費者の視点を製品開発や広告活動などに取り入れたり、消費者へ助言を行う人で、日本では消費生活アドバイザー資格がそれに相当するようでした。
ところが、資格取得してすぐに出産、子育て、転勤などで資格を活かすことがほとんどできず、14年が過ぎてしまいました。
「消費生活アドバイザー資格を活かして仕事するのは難しいかな」と半ばあきらめていました。
それが、いまこのようにお仕事をさせていただいているのが、たいへん不思議な気持ちで、ありがたく思っています。
募集は、(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)北海道支部からの案内で知りました。
消費生活アドバイザー資格は、地域や年齢などにかかわらず必要とされるものなので、転勤をしても、年齢が上がっても活躍できる場があります。
札幌に転居してすぐに仕事に就けたのは、消費生活アドバイザー資格のおかげだと思っています。
適格消費者団体の消費者支援ネット北海道(ホクネット)でも、活動されていらっしゃいました。
宮下 はい。ホクネットは、北海道内の消費者・消費者団体・法律家・消費者問題専門家が結集し、差止請求権をもつ適格消費者団体を目指して設立されたNPO法人です。
事務局に消費生活アドバイザーがいらっしゃったことがきっかけとなり、ホクネットの情報通信事業グループに参加しました。
当時、携帯電話会社の契約において、契約の複雑さや説明不足から、思わぬ高額な請求が来て、消費者が困惑するという事例が多く発生していました。
消費者が膨大な量の契約書や説明書をすみからすみまで読むのは困難です。まして、不利益な事実が小さな字で書かれていたのでは、見逃してしまいます。
契約者に大きな不利益となってしまう可能性のある事柄について、もっと大きく、わかりやすく記載してほしい。お店でも説明していただきたいと、携帯電話会社に何度も質問状や要望書を送りました。
やりとりを通して、説明書が目に見えてわかりやすくなっていき、やりがいを覚えました。
今後の抱負をお聞かせください。
宮下 とにかく興味関心を絶やさないようにしていきたいですね。
消費生活アドバイザー資格を取得してから、わからないことはすぐに調べる習慣がつきました。社会の流れが速くなっていて、取り残されそうになりますが、自分なりにアンテナを張り巡らせていきたいと思っています。
(取材:2014年11月19日)
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