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活躍する消費生活アドバイザー

加賀谷 辰夫さん

消費生活の学びを堪能し、得られた知見を地域社会に還元しています

加賀谷 辰夫さん(消費生活アドバイザー44期)
富山県職員

1987年に富山県庁に入庁。本職のほかに2枚目の名刺を持ち、地域に飛び出し社会貢献活動に参画する公務員「飛び公」として、ふるさとの魅力や消費生活など、人生を豊かにする講演や講義に取り組んでいる。
「地域に飛び出す公務員アウォード2016」受賞、富山ふるさとマスター、とやまふるさとの会会長、富山県民生涯学習カレッジ自遊塾県民教授などを務め、多数の市民活動でも活躍。食品ロス削減推進サポーター、消費生活関連の3資格(消費生活相談員、消費生活アドバイザー、消費生活コンサルタント)を保有。現在、3回目の学生生活を謳歌している。

県職員のお仕事について教えてください。

加賀谷 県職員になり、教育委員会を振り出しに、おおむね2〜3年で異動をしています。北陸新幹線の建設促進、金融検査、中山間地域の振興、土地対策・用地指導、薬業振興、議会対応などを経て、現在は15所属目の砺波農林振興センター総務課で予算、決算などを担当しています。いまの仕事は消費生活とまったく関係ありません(笑)

2枚目の名刺をお持ちとのことですが。

加賀谷 はい。富山ふるさとマスターとして、ふるさと富山の魅力を伝え、誇りや愛着を抱く機運を高めるため、2010年から講演等に取り組んできました。
 地域の幸福度を上げるためには、幸福の増進と不幸の除去が必要です。特に高齢者、障がい者、若者の見守りは重要と感じています。

消費生活アドバイザー資格を取得したきっかけは?

加賀谷 2018年に25年ぶりに本庁から異動となり、交流人事で県立高校に勤務しました。私は家庭科必修ではない世代のため、家庭科の教科書を新鮮に感じ、消費生活問題に興味をもちました。
 2020年からは、県消費生活センター本所で消費生活情報誌の制作や出前講座の派遣などを2年間担当しました。消費生活相談員試験を受験して、2020年とその翌年、2年連続で合格しました。
 2021年からは、特殊詐欺や消費者トラブルの未然防止とともにエシカル消費など、自立した消費者についても伝えていましたが、法律や社会経済情勢は絶えず変化しているので、試験合格はゴールではなくスタートと感じるようになりました。

 さらに、消費者志向経営を踏まえ、経済や生活など幅広く奥深い知識が求められ、多様なフィールドで活躍する民間資格者が多い消費生活アドバイザーに魅力を感じるようになりました。そこで、2024年から受験し、2024年、2025年と合格しました。 

 社会貢献できる消費生活の担い手を増やすため、まだ道半ばですが消費生活資格の取得を勧める活動もしています。合格者も現れ、実を結びつつあります。1人でも多くの方が、この分野に足を踏み入れてくれることを願っています。

消費生活アドバイザーとしての活動も、多方面にわたるようですね。

加賀谷 コロナ禍で高齢者の見守りが制限された結果、特殊詐欺や消費者トラブルが生じやすくなりました。特に高齢者や障がい者は、自分が特殊詐欺や消費者トラブルに遭っている認識が高くありません。被害は氷山の一角で、泣き寝入りしている方や被害を認識していない方は、報告されている数字よりも多いと考えています。
 「富山県民生涯学習カレッジ自遊塾」で教授も務めています。ここでは県民がボランティアの教授になって講座を企画しているのですが、2014年から、ふるさとの魅力や価値観などを伝えられる人材を育てようと、ゼミ形式で講座を設けています。ここに消費生活講座を新たに加え、教授になりました。また本年も南砺市民大学など、参加者が100名超から、各種団体など十数名を対象とするものまで、さまざまな講演を行っています。

 特殊詐欺などの報道を見聞きしない日がないのは、誰もがだまされる可能性があることを示しています。自分事として捉えなければ、テレビなどで目に入って、「被害が多額だな」と感じても、記憶に残りません。ただ詐欺の手口を伝えるのではなく、自分事として考えられるよう、消費者の心理的バイアスなども踏まえ、お金や健康、ロマンス等の場面を伝え、注意するよう呼びかけています。

 エシカル消費は、消費者に馴染みがないわけではなく、地産地消や応援消費など、実は実践していることが多いにもかかわらず、気づいていない人が多くいます。まずそのことに気づいてもらったうえで、人や環境、社会に配慮した行動の意義の腹落ちを促すことに時間を使っています。
 また、家庭科必修ではなかった世代の男性や若者向けに、特殊詐欺や消費者トラブルについて新聞投稿し、掲載していただいています。富山県消費者基本計画に対しても、2025年にパブリックコメントで、担い手や県民への普及啓発の評価指標の目標値の上乗せや適格消費者団体について意見を提出しました。

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