村上 2005年に「国連持続可能な開発のための教育(ESD)の10年」がスタートしました。これは国内のNGOの提言を受けて政府が国連に提案したもので、日本においてボトムアップでESDを推進する組織として設立されたのがESD-J(Japan Council on Education for Sustainable Development)です。
ESD-Jは会員100団体・250名のネットワーク組織となり、ESD推進に関する政策提言や施策の協働の実施、ESDの研修開発などに取り組みました。各地で持続可能な社会に向けてさまざまな教育活動をされている人たちが、ESDをキーワードにつながり、活動を広げていくために必要な土台をつくる裏方役といったところでしょうか。
最初は「ESDの10年が始まりますよ。みんなでいっしょに盛り上げて、今までやってきた環境教育や開発教育をもっと広げていきましょう」と呼びかけるところからスタートしました。当時は「持続可能な開発のための教育」という概念はなかなか理解されず、「開発教育とどう違うの?」「今までやってきた環境教育と同じなのでは?」といった疑問をたくさん投げかけられました。そのような状況のなか、全国各地で地域のNGOや教育機関の方々と共にワークショップを開催し、ワイワイ議論しながら概念図と説明文章を作り上げていきました。そうしてまとまったものが、国の実施計画などにも活かされています。国連文書なども参考にしながら概念をゼロから作るのは大変でしたが、その成果は素晴らしい財産になりました。