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活躍する消費生活アドバイザー

消費生活アドバイザー資格との出会いは?

竹田 私は2002年に視覚障害2級になりました。リハビリテーション施設に通いはじめたのですが、そこに通っている方たちの持っている携帯電話がみんな同じなんですね。音声読み上げ機能が付いた機種は1つしかなかったからです。
 自動販売機が視覚障害者には使えないことにも、初めて気づかされました。「こんなにモノがあふれているのに、ほとんどの人が同じものを使う、好きなコーヒーさえ自分で選ぶことができない、これはどういうことだろう」と思いました。
 視覚障害者は情報障害者といわれます。人間が外界から得る情報のうち、目から入ってくる情報が約8割を占めるからです。

 そこで、知り合いのキャリアカウンセラーに「当事者に情報を伝えたり、企業に視覚障害者の声を伝えたい。そういうことを仕事にしたい」と話しました。
 「それなら、消費生活アドバイザーという資格がありますよ」と言われたので、「じゃ、私、それ取ります」と。

勉強はどのように?

竹田 そのときは本を読むのも難しくなっていたので、拡大読書器を使いましたが、拡大読書器酔いのような状態で、20分と文字を追えませんでした。まずそれを使う訓練のようなことから始めました。
 それから、耳からの情報をすごく大事にしました。消費者センターに頻繁に行って、講演会を見つけたら手当たりしだいに聞きにいきました。大阪府が開いている消費者教育のセミナーや金融庁が行っているセミナーとか。

 日本ライトハウス情報文化センターや多くの図書館では、対面朗読サービスを行っています。講習を受けたボランティアの方に図書等を読んでいただくもので、『暮らしの豆知識』や専門誌はここで読んでもらいました。
 パソコンをフル活用し、法律などはWebサイトで調べました。資料の作成元にデータでいただけないかとお願いしたり、1ページずつOCRにかけて音声読み上げ機能を使ったり、読めるフォントに直して印刷したりしました。

 パソコンは、視覚障害になってから使いはじめました。それまではマウスポインターが見えないので使えないと思っていたんですけど。
 使いはじめたら、すっかり好きになりました。いまでは(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)西日本支部の基礎学習分科会のホームページ更新を担当し、KVSのホームページもつくっています。

 消費生活アドバイザー試験の合格がわかったときは、ほんとうにうれしかったです。「消費生活アドバイザーになります!」と、公言してましたので。3年かかってしまいましたが。
 「視覚障害者が試験を受けたい」と言っても断られることが多かったこの頃、受験環境を整えていただいた日本産業協会様には感謝しています。

 合格してすぐ、NACSに入会しました。消費生活アドバイザーの方たちとのつながりをもちたかったからです。
 一人でできることは限られていますし、何から手をつけていいかもわからなかったので、NACSに入り、もっと勉強させてもらおうと思いました。

これから取得される方へのメッセージや抱負などを。

竹田 消費生活アドバイザー資格は、自分自身の勉強にもなりますし、広い視野から見られるようになると思うんですね。消費生活分野で何かやりたい、あるいは何か疑問に思っていることがあるのであれば、ぜひ取得してください。
 取得によって資格者同士のつながりができ、素晴らしい方とたくさん出会え、自分の目線磨きにもなります。世界が広がります!

 障がい者も、一人の市民として就労も含めて自立する。自分の好きなものを自分で決めて買える。出かけたいときに出かけられる。「普通に」障がい者が存在する。そうした当たり前のことにまだまだハードルがあるので、そういったことをまずソフト面から解決できるようにしたいですね。
 社会のなかで支えてくれる人たち、市民みんなを巻き込んで、いろいろ活動していきたいと思っています。

 現在は、KVSの定例イベントに加え、来年1月31日(日)に開催されるNEXT VISIONとの共催のシンポジウム「神戸発・未来型医療とロービジョンケア」に向け、消費者市民社会の新たなモデル事業を準備中です!  医療と福祉等の連携だけでなく、消費者団体としての大学生協にも協力していただき、催事開催までのプロセスも含めて市民力をアップできればと考えています。
 2月の大阪府主催事業では、広く一般府民の方に、障がいがあっても安心・安全に外出できる「ちょっとしたお手伝いのポイント」を呼び掛ける予定です。

(取材:2015年8月26日)
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公益社団法人NEXT VISION主催
シンポジウム「神戸発・未来型医療とロービジョンケア」
詳細はこちら http://www.nextvision.or.jp/menu04_symposium.html

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