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資格活用への取組み

お客様が求める情報を、正しく、わかりやすく伝えることが使命です

大正製薬株式会社 薬事部お客様119番室

大正製薬株式会社は大正元年に創業され、昨年100周年を迎えた。セルフメディケーション事業を展開し、数々のトップシェアブランド製品をもつ。同社の消費者対応の窓口である「お客様119番室」にうかがった。

■セルフメディケーションとは

 大正製薬といえばドリンク剤「リポビタンD」がまず頭に浮かぶが、テレビCMでよく見かける、かぜ薬「パブロン」、発毛剤「リアップ」、便秘薬「コーラック」、それにもちろん「大正漢方胃腸薬」も同社製品である。同社は、こうしたOTC医薬品(一般用医薬品)が主力製品であり、この分野で国内トップシェアを占める。

 OTCとは「Over The Counter」の略で、消費者が医師による処方箋を必要とせずに、薬局・ドラッグストアなどのカウンター越しに購入することから名づけられている。

 こうした「自分の健康は自分で守る」というセルフメディケーションにおけるOTC医薬品は、たとえばかつての日本の暮らしでよく使われていた配置薬に近いものかもしれない。軽い症状なら、薬箱に入っている、よく知っている常備薬で対応する。

 もちろん、そうした使われ方がされるためには、医薬品に対する正しい情報が提供されなければならない。

 同社の消費者対応部門「お客様119番室」を統括する小川道弘薬事部長は語る。

 「医薬品は生命にかかわる製品ですから、私たちがお伝えする情報は、正確でなければなりません。しかし、それだけでは不十分だと考えています。電話で話されるご質問が、お客様が本当に知りたかったことなのか。私たちは、それに応えているか。お客様の求めている情報をわかりやすくお伝えすることが、私たちの使命とされています」。

 高齢社会の進展に伴い、医療費の増加が社会問題化しているが、セルフメディケーションによって病気の予防・軽症化ができれば医療費の減少にもつながる。このため、同社では「セルフケアセミナー」を開催するなど、セルフメディケーションの普及にも取り組んでいる。

■「お客様119番室」はベテラン揃い

 店頭で薬剤師等のアドバイスが受けられるにしても、OTC医薬品は、消費者が自分で選択し服用する医薬品である。お客様との対応には専門的な知識や高いヒアリング技術が求められる。

 電話相談の窓口である「お客様119番室」は31名の陣容、うち11名が薬剤師、9名が毛髪診断士である。平均年齢は40代後半、8割近くが課長職以上を経験したベテラン社員である。さまざまな問合せに対応できるよう、それぞれの得意分野を活かしたローテーションが組まれている。

 「お客様119番室」の受付時間は、医薬品に関する相談だけに長く、平日8:30〜21:00。これに、3ローテーションで対応している。

 電話での問合せ件数は、2010年が約63,000件、2011年が約57,000件、2012年が約58,000件。新製品が発売されると、「ポーンと増えます」(小川部長)とのことである。

 「お客様119番室」スタッフには、ヒアリング技術を向上させる訓練や専門的な内容を分かりやすく話す研修も実施されている。

 ちなみに、「119番室」という緊張感のある名称は、医薬品は服用方法等によっては重大な事故につながりかねないことから、緊急性にも応えられるようにと、上原明代表取締役会長が名づけたという。

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