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活躍する消費生活アドバイザー

「小さくても 強く やさしい会社へ」と貴社のホームページにありました。

有村 私は25年間ほど、この仕事をしているのですけれども、経営コンサルティング会社に勤務して独立したわけではなく、資格を持ったからこの仕事を始めたため、手探り状態でした。
 そのようななかで、経営学者の坂本光司先生の「人を大切にする経営」に出会いました。
 これは、会社に関係する、1)社員とその家族、2)外注先・仕入れ先、3)顧客、4)地域社会、5)株主、といった5つの人々を幸せにしなければ会社は成り立っていかないし、それを大切にしている会社が強い会社になっていく、という考え方です。お話を聞き、すごく感銘を受けました。
 人を大切にしている会社は、経営体質が強く、かつ社員や外注先・仕入れ先などに対しても優しい。心くばりができている。そうありたいと願うことから、会社のキャッチフレーズを「小さくても 強く やさしい会社へ」にしました。

社名の「アイパス」にも、思いが込められているんですね。

有村 はい。「小さくても 強く やさしい会社」には特徴があります。大きな特徴を示す5つの言葉にフォーカスして、その頭文字から名づけました。

  • Add Value…高付加価値で良い商品、お客様がのどから手が出る商品を提供
  • Independent…下請けではなく、自分で自立している経営
  • Pricing myself…自分で値段をつけられる経営
  • At home…社員さん含めて家族的で厳しくも温かい雰囲気
  • Steady Growth…着実な成長をしていく企業

 どんな社名にしようか悩んだ挙げ句、原点に戻って、自分が何をしたいのかを考えてみたときに、「この5つなのかな」と。そこで決まりました。

コンサルタントとして独立しようと思ったのは、いつですか。

有村 中小企業診断士の資格を取得したときですね。その頃、家族の勤務の都合で海外に行くことになり、当時勤めていた会社を辞めざるをえなくなりました。帰国後は、静岡に住むことになったのですが、それまでご縁のなかった地域でした。自分にできることが何かないかと模索しまして、最初にしたのが(公社)日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会(NACS)中部支部への入会です。
 知らない土地でも、消費生活アドバイザーのつながりのなかで、同じ土俵に立てるグループに入らせていただき、すごく刺激になりました。「資格を持っていてよかったな」と思いました。

 静岡で少しずつ仕事を始めました。すぐに仕事がくるわけではありませんので、最初は中小企業診断士資格の学校の講師をさせていただいたり、先輩から簡単な仕事をご紹介いただき、お手伝いをしたりしました。
 当時、中小企業診断士や消費生活アドバイザーの集まりに参加し、ネットワークができたことは、とても力になりました。

独立された90年代、女性のコンサルサントは少なかったのでは?

有村 女性コンサルタントの比率についての実態はよくわかりませんが、今よりは少なかったように思います。異業種交流会などで、夜に懇親会に参加すると「家族は何も言わないの?」などと聞かれたこともありました。
 逆に、今お取引いただいている社長さんのなかには、「女性の視点から、社員にやわらかく話してもらえるのではないか」と、評価していただいているところもあります。
 また、女性社長さんも相談しやすいようで、気軽にご相談いただけています。

改善策が、なかなか見つからないことも? そういう状況は、どのように突破するのでしょうか。

有村 改善策については紆余曲折することもあります。
 たとえば、商店街活性化のお手伝いをさせていただいたことがあります。会社は社長さんに納得いただければ、改善が進みやすいのですけれど、商店街は経営者の方ばかりで利害関係者も多く、総論には賛成ですが、各論になると反対が続出し、最初はなかなか前に進みませんでした。最初は「どうしよう」と悩んでいました。
 悪いところより、強みや良いところに目を付けてみてはどうかと思い、「地域の良いところを見ていきましょう」とお話して議論していきました。
 すると、ある方から「高齢者や子育てママにやさしい商店街を作りたいね」というアイデアが出てきました。そこから「優しさをイメージさせるマークを作ったらどうだろうか」「自分のお店でできる優しいことをマークで示していこう」と、次々と見える形になっていきました。みんなの目の色が変わっていき、良い形でまとまっていったのです。
 最終的には近くの大学の学生さんたちが協力してくださって、商店街のキャラクターを作るなど、地域として盛り上がっていったことがありました。

 企業さんでもそうなのですけれど、ちょっとでもいいから「形にしてみる」「動かしてみる」。それで「目に見えてくる」ことで、いっしょの土俵にのって動いていく。壁の突破体験の一つです。

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