TOP > 消費生活アドバイザー > 資格活用事例 > 活躍する消費生活アドバイザー > 松本さん インタビュー記事2

活躍する消費生活アドバイザー

一般社団法人世界遺産平泉・一関DMOでは、どのような活動を?

松本 こちらも、私は発起人の一人で代表を務めています。「観光を町づくりにどう活かすかを考える団体」というと、わかりやすいかもしれません。観光庁の観光地域づくり法人(DMO)に登録され、2018年4月にスタートしました。DMOは、Destination Management / Marketing Organizationのことです。これからはプロモーションの仕方もマスプロモーションの時代から関係人口の時代になっていくだろうと思っています。地域でしっかりとターゲットを捉え、そことの関係性を創っていくチームが必要でした。

 参加メンバーは、地元の30〜40代の経営者といわれる人たちが大半で、業種はさまざまですね。お菓子や酒造などの100年企業も関わっています。

 地方にとって一番大事なのは、「人」。にもかかわらず、さまざまな人が集まり、アイデアを出し合ったりする場所がなかったので、まず場づくりに取り組みました。その過程で、いろいろな人たちとのつながりが生まれています。
 たとえば、一関市のふるさと納税の返礼品づくりに、私たちのメンバーも参加し、納税額が伸びてきています。最近はオーダー品なども増えてきました。

地域の方々との協働で、工夫していることや心がけていることは?

松本 外から見ると価値があるけれど、中にいる人は価値がないと思っていることが結構たくさんあるので、それをいっしょに考えていくことです。

 また最近、「経緯」を大事にしたいと思っています。
 「なんで、こんなことをやっているんだろう」と思うことでも、先人たちが長くやってきたことには、何かしら理由があります。「それは、違います」と否定するのではなくて、理由をお聞きして、「そういう理由なんですね。教えていただいてありがとうございます」という気持ちが大事です。

「地域では重要視していなかったけれど、外から見ると実は…」というものには、どのようなものがありますか。

松本 いくらでもあるんですけど。たとえば、イーハトーブ東北が運営している古民家を利用した宿泊施設にイタリアからお客様が来たことがあります。
 欧米ではバーベキューが好まれるからと、高級で知られる前沢牛をはじめ、気合を入れていろいろな食材を用意しました。宿泊後に「何が一番よかったですか」とたずねたところ、なんと枝豆だったんです。「なんじゃそれは」と。古民家前の畑で育てていた枝豆を茹でて食べたのが一番おいしかったそうなんです。
 調べてみたら、ヨーロッパでは枝豆が高級食材なんですね。3ユーロとかで日本食レストランなどに出ていました。それが、現地の採れたてを茹でて食べたら、甘味や風味がまったく違う。私たちがイタリアに行って、地元のジェラートをおいしいと思うのと同じでしょう。ふだんなかなか食べられないものを現地で実際に食べた経験が一番よかった、というわけです。

 例をもう一つ。岩手県には伝承がたくさんありますが、新型コロナウイルス流行の第一波のときに、「岩手の六芒星(ろくぼうせい)」が全国的にも話題になりました。六芒星は星型多角形で、安倍晴明で知られる平安時代の陰陽師(おんみょうじ)たちは、街づくりの重要な要素としていたようです。平安時代に岩手県南にやってきた陰陽師が、それまで土地の人が信仰の対象としてきた磐座(いわくら)に六芒星に配して結界を張ったという伝説があります。その結界が、感染者ゼロの持続につながっているのではないかというのです。
 岩手の六芒星は、神仏信仰がやってくる前の、蝦夷(えみし)といわれる人々による磐座信仰がベースにあり、独特のものがあります。
 イーハトーブ東北では、この六芒星を巡るツアーも企画しています。

▲TOP