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活躍する消費生活アドバイザー

明さんが消費生活アドバイザーを取得したきっかけは?

 南さつま市役所に入庁して4年目で現在の部署に配属されることとなり、ここで初めて「消費者行政」というものと出会いました。市役所の中に消費生活センターがあることは知っていましたが、入ったこともなく、恥ずかしいことに「どのような仕事を行っている部署だろうか」と、考えたことすらありませんでした。

 配属当初は、消費生活相談員の方が話していた「国セン」「特商法」「消契法」という略称すら理解できないレベルでした。当然、担当職員としてできることもなく、消費生活相談員の方から困っている案件や対処した結果などの報告を受けても、ただ聞いているだけ。私の脳内での処理スピードが内容に追いついていませんでした。
 しかし県内で消費生活相談に尽力されている弁護士や大学教授、消費生活相談員の皆様と交流させていただくなかで、少しずつ「消費者行政がもつ重要な役割」を理解できるようになってきました。そこには行政機関に、しかも無料で、とことん対応してくださる方々が存在していました。
 私も、さまざまな事業を担当している兼務という状況ではあっても、担当職員としての自覚をもって業務に臨まなければならない。消費生活相談員に任せっきりでは自分の存在意義がない、と感じるようになりました。

 そこで、自宅にて国民生活センターのD-ラーニング(遠隔研修)を閲覧しながら少しずつ勉強を始めました。
 さらに、消費者教育を本格的に推進していくための研修にも参加。そこでNACS(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会)西日本支部の樋口容子支部長と初めてお会いし、私の考えなどをお話するなかで消費生活アドバイザー資格を勧められました。鹿児島空港までの帰路において、すぐに資格の詳細をネットで調べましたが、とても範囲が広い筆記試験あり、論文試験あり、面接試験あり…。「私にはとても無理だ」と思ったことを記憶しています。
 しかしながら、自分自身が感じていた「消費者行政がもつ重要な役割」が、私の背中を押してくれました。
 トラブルから解放された相談者が喜んだ顔をしてセンターを後にされたり、お礼の電話をいただいたり。そうした経験があったからこそ、「自分の能力をさらに高めなければいけない」と足を踏み出せたのだと思います。
 樋口支部長とお会いした1週間後には、産業能率大学の通信講座に申し込んでいました。勉強するために必要なお金も、私にとっては決して安いものではなかったのですが、妻は「勉強するのにお金を使うことに反対する理由は、まったくないよ」と温かく応援してくれました。
 妻のこの言葉もあり、「絶対に1発合格しよう!」という意識で、勉強に取り組むことができました。

どのように勉強されたのでしょうか。

 第一次試験については、通信講座を活用しました。論文と面接については、知識を社会とリンクさせて考える習慣をつけるために、新聞記事やテレビのニュースなどで消費生活関連のものが出たら意識して頭に入れていました。

 通信講座のテキストは3回読みました。
 1回目はとにかく通読(覚えるのではなく、全体を理解する意識)して、理解できなかった部分などへの蛍光ペンのライン引きは行いませんでした。1回目は理解できないことだらけであり、引いたラインが本当に重要な部分かが不明確となってしまうからです。
 2回目は記憶することを意識しながら理解する(あくまでも理解することを優先)ようにしました。とりあえず意識的に記憶してしまえば、たとえ忘れてしまっても次に見たときには思い出すだろうと考えました。したがって、あくまでも理解しながら記憶するという感覚で取り組みました。
 3回目は「なかなか理解できない部分」について蛍光ペンでライン引きを行いました。このライン引きした部分を試験開始の直前まで何度も読み返すためです。理解できない部分については、通信講座の利点をフル活用し、しっかりと質問しました。
 実際に過去問を解いてみても、やはりライン引きした部分に関連した問題で間違いをしていました。苦手意識をもったまま本試験に臨むのは自信をなくす原因になるため、「苦手な部分もしっかり勉強した」と思えるまで、繰り返し学習しました。

 第二次試験対策については、NACS西日本支部の樋口支部長から、九州支部の愛智ゆみ支部長を紹介していただき、両方の支部が開催する論文添削講座(通信講座)を受講しました。
 面接試験については、ありのままの自分を全面に出そうと思っていましたので、特に何も準備しませんでした。(笑)

 消費生活アドバイザー試験の勉強で最も苦労したのは、試験範囲がとても広いことです。特に「生活知識」の分野は、家庭科をあまりまじめに勉強してこなかった私には知識財産がほとんどなく、衣生活や食生活に関しては、ほぼゼロからのスタートでした。また、通信講座での学習であるため、独学でテキストを読み込み、理解しなければならないところにも苦労がありました。東京や大阪では教室形式で講師による講座に参加できるので、同じ受験生としてうらやましく思ったこともありました。
 1発で合格できたのは、本当に今でもマグレだと思っています。

資格取得の勉強で、ためになったことなどは?

 最も苦手としていた生活知識の分野で社会保障制度や医療制度について学習できたことです。市役所に勤務していますが、この分野を業務とする部署での経験がないため、初めて知った制度も多く、病院と診療所の細かい違いなど、多くの知識を得ることができました。
 また、大学の卒業論文で地球環境に関するテーマで研究をしてきたつもりでしたが、世界規模の環境問題やエネルギー論などは大学在学中とは大きく変わっており、パリ協定やCOP23などについても、新聞記事や文献などで詳しく調べたくなるほどに興味をもつことができました。

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