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活躍する消費生活アドバイザー

トップが資格取得活動について認識しているというのは、なかなかありません。

米田 当社は、社員が「やりたい!」と言えば、まずは「どんどん、やりなさい」という答が返ってくる風土なんです。

 それで、消費生活アドバイザーの知識を業務へどう活用すべきかという相談も含めて、各事業部の役員の方々を回り、周知を仕掛けているところです。

受講生の反応はいかがですか。

米田 4月から2回目の講座を終えた3か月経過時点でアンケートを取ったところ、反応がよいですね。「目線が変わってきた」「いままで読み飛ばしていた新聞の記事が、スッと頭に入るようになった」。なかには「主婦になったような気分だ」という男性社員からの回答もありました。

自動車部品メーカーとしては、消費者を遠くに見てきた面もあるのでしょうか。

米田 多少あるかと思います。

 当社は、仕様書どおりの製品を安く正確に、かつ時間どおりに、世界の自動車メーカーに納品することが求められてきました。

 したがって、設計技術や材料評価技術など、機能それぞれに高い固有技術があります。一方で、最終ユーザーとしての消費者は遠い存在になっています(図1参照)。せっかく育成し、高くとがった固有技術も、消費者マインドの理解が抜けていては、その技術を十分に活かしきれない可能性があります。

図1

では、自動車メーカーからの仕様書のなかにはお客様目線が入っていると思われますか?

米田 一つひとつの検証はできませんけれども、入っていると思います。自動車メーカーさんには、設計、開発、評価、いろいろな部門に消費生活アドバイザーがたくさんいらっしゃいますから。

 私はよく社内で、「お客様目線で考えるとは、具体的にどういうことですか。このように部下から尋ねられたら、どう答えますか」と質問します。皆さん、なかなか答えられません。私もできません。しかし、お客様目線はすべての業務の土台となる大事なポイントです。

 この回答は、それぞれの経験に基づいたものになると思います。でも、経験というのは、一人ひとりの与えられた業務のなかで得られたものですから、視野が狭くなりがちです。

 では、どうやってこの力をつけるのか。

 そのツールとして、消費生活アドバイザー資格取得が使えると私は考えています。広範囲にわたる試験範囲の学習に取り組んでいるうちに視野が広がります。これは、私自身が勉強を通して得た実感でもあります。

自動車メーカーと同じような消費者目線をもっていきたいということですか。

米田 そうです。

 市場で問題が発見された商品を改善し、設計や製造ルールに落とし込む。それももちろん必要ですが、やはり後追い作業なんですね。事前に行うことが大事です。後追いでは、事業のスピードが上がりません。後戻りするわけですから。

 当社の主力事業は、材料メーカー、仕入先、車両メーカー、カーディーラーに挟まれ、お客様とかなり遠いんですね。しかし、だれもが、一歩外へ出れば消費者です。消費者として、自分ならこう使う、誤解する、理解できない。そこから発想する土壌をつくりたいですね(図2参照)。

図2

 消費者の立場・視点・配慮を主張できる人がたくさんいることが、消費者の信頼を得ることができ、ファンを増やし、結局は事業のスピードを速め、事業の拡大につながっていくのではないでしょうか。

 納品先は1社でも、その先には何万という消費者が、異なった状況や感情のもとで行動していることを知る必要があると思います。

 また、消費者マインドで発想できれば、値段が高くて複雑なものがいいのか、安くて簡単なものがいいのか。そういうマーケティング的な視点も得られます。

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