「Jコンセプト」の開発で、中心的な役割を果たされたとうかがっています。
大和 Jコンセプトは、2014年にスタートした、家電の商品群です。
Jはいろいろな意味を含みます。まず、Japan。日本の心づかいと美意識です。開発がスタートした頃、日本中で海外への工場移転が進んでいたため、日本の匠のモノづくりを活かした商品づくりをしたいという大きな思いもありました。
デザインもJapanにこだわりました。冷蔵庫は、豊穣柄を採用しています。これは、遠目には白く見えるのですが、近くで見ると、揺れる稲穂や、ゆったりと流れる水面が意匠化されています。
Jにはまた、熟成世代、そして上質の意味もあります。
この商品群のターゲットユーザーとして50〜60代を想定しています。余暇を楽しみ、ゆとりのある、豊かな生活を送りたいと考えていらっしゃるこの世代の方たちを当社では目利き世代と呼んでいます。
この世代の方たちは、お子さんが小さい頃には大容量の冷蔵庫を求められていましたが、お子さんが独立されて家族が減ったり、コンビニの普及や、スーパーの営業時間が長く買い物も便利になり、食品を買いだめする必要も減ってきています。加えて、生協などの宅配や産地直送のお取り寄せなど、買い物の形態や食材の種類の変化により冷蔵庫の使われ方も変わってきています。
このような生活の変化によるターゲットユーザーへの冷蔵庫のニーズは、延べ8,000人以上、デザインについては100人以上の方へのインタビューなどにより検証しました。
Jコンセプトのもう一つのポイントは、ユニバーサルデザインです。
たとえば、ペットボトルの出し入れは、ひじへの負担が大きく年齢とともにつらくなります。そこで、当社ではウエストゾーンと呼んでいる冷蔵室の下部を少し下げ、使い勝手をよくしました。
ターゲットユーザーにあたる方のご意見や、UD視点で厳しくチェックする女性社員と何度も検証をしながら、年代別・性別のひじの微妙な上げ下げのデータも参考に、ペットボトルを入れる棚の位置や引き出しの寸法や高さなどを決めました。
おかげで、Jコンセプトをご使用いただいている方から、使いやすいという声がたくさん寄せられています。
Jコンセプトの冷蔵庫は、グッドデザイン賞も受賞されていますね。
大和 はい。Jコンセプトはじめ、トップユニット冷蔵庫は、グッドデザイン賞を受賞させていただいています。
キッズデザイン賞もいただきました。「お子さんやお孫さんといっしょに、お料理が楽しめますよ」など、生活シーンのご提案もあわせて評価いただいています。