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活躍する消費生活アドバイザー

ところで、岡本さんが消費生活アドバイザー資格を取得しようと思ったきっかけは?

岡本 CX本部にいたときに、社長から勧められたのがきっかけです。
 社長は、20年前ほど前、当時勤務していた銀行で個人部門の企画を担当されており、カスタマーセンターの立ち上げに携わった際に消費生活アドバイザー資格を知ったようです。

 カスタマーセンターはお客様のご意見をうかがい、会社の施策に反映させていくセクションですから、まさに消費生活アドバイザーが求められているのだろうと思いました。
 また私自身も担当者として、現在の行政の方向性や法的な体系など、基本的なところを整理しておかなければ、という思いがありました。

 勉強は、過去問を中心に進めました。通信講座は続ける自信がありませんでしたので、受験用の本を1冊購入し、何回も読みました。
 土曜日には、東京都消費生活総合センターの図書資料室に行って、大事だと思った資料はコピーを取りました。
 『消費者情報』(公益財団法人関西消費者協会)のバックナンバーも、1年分くらい読みました。これは勉強になりました。

 法律は、日常の業務でも接していますので入っていきやすかったのですが、食品や衣服の問題というのは全然わかりませんでしたね。食べることが好きですから食品はまだよかったのですが、糸の太さや繊維の水分率などは、苦痛でした。

 短期間で体系的に、消費者問題や消費者行政関連の法令について勉強できたのは、すごくためになりました。

NACS東日本支部の金融研究会でも活動されています。

岡本 金融研究会で、消費生活センターで相談業務をされておられるメンバーの方たちからいろいろお話をうかがったり、ユーザー目線を感じることができ、たいへん勉強になっています。
 私は30年間、ずっと銀行にいまして、金融サービスの提供者側の立場しか知らないものですから。

 先月は、金融研究会と、研究会会員の永沢裕美子さんが事務局長をされている「フォスターフォーラム」の協賛で、ライフネット生命の出口治明会長のお話を聞く機会がございました。
 一緒に勉強させていただくなかで、そうした他企業トップのお話を身近にお聞きできる会に参加できたことなども、たいへんありがたかったと思っています。

銀行業界では、消費生活アドバイザーは本当に少ないですよね。

岡本 金融研究会で、銀行が不正利用に対してさまざまな対策を取っていることを申し上げると、「銀行も、それだけのことをやっているのですね」と驚かれました。
 銀行はいろいろと行っているつもりなのだけれど、ご理解をいただけていないところもあり、まだまだ工夫をしなければならないと思いました。

 一方で、セキュリティーとユーザビリティーを両立させるのも重要です。悪意のある人を利することなく、ユーザビリティーの改善を図っていく必要があります。

 消費者基本法第5条には「事業者の責務等」も定められています。事業者としてきちんと消費者と向き合うことは、法の主旨の面からも大切だと思います。

 ネット社会の浸透によって、消費者の情報収集・発信が極めて簡単になってきています。発信されると、極めて速いスピードで、広範に情報が広まる状況もあります。
 こうしたなか、企業が「これはよい商品だから、たくさん売っていこう」としても、それが売れるとは限りません。

 お客様に製品を好きになっていただき、ファンになっていただくような関係を構築していくことが必要なのだろうと考えています。

 当社には、「モニターイノベーション」という考えがあります。モニター(お客様)側からイノベーションを起こしていただく、お客様に商品を作っていただく、というような考え方です。

 たとえば、「説明書がわかりにくい」とのご意見が寄せられたとします。社員全員で検討しても限界があります。
 そこでネットを使って、280万人のユーザーの方たちからお声をいただきながら施策に反映させていく。わかりやすい説明書は、お客様にとってもメリットがあります。
 そうした企業のあり方が、これから求められていくのではないでしょうか。
 消費生活アドバイザーの知識は、そのベースとなると思います。

 お金のからむ犯罪はものすごく多いですよね。お客様の大切な資産であり「そういう商品を我々は扱っている」という、畏れのような気持ちをもって業務にあたらなければならないと常々思っています。

 信頼され、「この銀行は便利だな、安心だな」と使っていただけるような金融機関を目指していくことが大事だと思います。
(取材:2015年2月12日)

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