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活躍する消費生活アドバイザー

開運商法広告の規制は、できないものでしょうか。

福ョ 消費者から「開運効果なんてあるはずないのに、どうして広告を規制しないのか」と問われることもありますが、「あるはずない」からこそ、一般消費者が事実と誤認する恐れはなく、景品表示法の規制対象にすることは難しいんですね。

 取引の状況しだいでは特定商取引法の不実告知を問うことは可能かもしれません。
 行政には合理的根拠の提出要求(事業者が商品の効能効果の合理的根拠を提出できなければ不実とみなし行政処分の対象とする法制度)という強力な権限がありますから。

 でも行政の規制権限は、憲法で保証された国民の自由を公共の福祉のために制限するもので、必要最小限の行使とすべきです。
 合理性のない開運グッズでも、少額商品ならば、一般消費者が現実的・直接的効果を真剣に期待せず、軽い気持ちで購入する分には、社会通念上不当な取引と言い難く、規制するのは適切ではありません。
 そこまで躊躇なく規制するような社会は、逆に恐いですよ。

 しかし、それが悪質業者のつけ込む隙間になっていることも事実です。
 先ほどご紹介したような、低額の開運グッズを餌に高額な霊感商法を展開する悪質な事例とわかれば、行政は処分権限の行使をためらいませんし、警察が動く場合もあります。

 そのためにも被害を泣き寝入りせず、最寄りの消費生活センターに情報提供していただくことが重要なんです。

ところで、消費生活アドバイザー資格を受験しようと思ったのはどうしてですか。

福ョ 消費とくらしの安全室に配属された初年度に「消費者リーダー育成事業」を担当しました。
 これは県内各地で消費者活動を牽引するような見識ある人材を育成する目的で、2004年から実施しています。消費生活専門相談員や消費生活アドバイザー資格試験の受験を想定しつつ、法律知識・生活知識等を専門家に講義していただくものです。
 この仕事を通じて初めて消費生活専門資格の存在を知り、事務担当として全9回の講義を聴くうちに、「なるほどこういう分野なのか」という感触が得られました。

 行政職員にとって、異動は宿命です。まったくの素人が消費者行政部門にやってきて、3年ほどで出て行ってしまう。これでは消費者問題についての専門性は深まりません。

 一方、相談員は消費生活に関する資格をもっていて、長い人だと30年選手になる。行政職員と相談員は、もちろん仲は良いのですけれど、なにかしら互いに相手の領域に遠慮する「見えない溝」のようなものを感じたんですね。
 「それを飛び越えたいな」と思ったのが、受験を志した動機です。

 相談員以外の消費者行政部門の職員で、消費生活に関する資格を取ったのは、島根県庁では私が初めてのようです。

試験勉強は楽勝だったのでは?

福ョ まさか(笑)。1次試験は1回で合格しましたが、2次で落ち、最終合格は翌年でした。
 自分の担当職務は「狭く深く」わかっていても、試験範囲は実に幅広く、知らない知識だらけでした。

 産業能率大学の通信講座を受講しつつ、過去問題の勉強に力を入れました。過去3年間くらいの問題を自分なりに分類し、いろいろ調べて解説を書いていったんです。
 たとえば○×問題なら、「何が〇で、何が×か」というだけでなく、「×なら、何がどう間違っているのか」「誤答を導くため、どういう紛らわしい情報が含まれているか」。
 これで、問題文の外に広がる周辺知識まで意識することができます。

 2012年度には、有資格者育成を目的とする県事業として島根大学法科大学院の協力を得て消費生活相談員養成講座(ACAセミナー)を開講しました。
 私はその事務調整を行うとともに、受講生と一緒に全講義を聴き、また行政知識の回では講師としてテキストを作成して、90分×3コマの講義を受け持ちました。
 講師役を務めたことは知識の体系的把握に大いに役立ち、また過去問題解析の勘所を押さえるのにも有効でした。

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