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活躍する消費生活アドバイザー

福ョ 尚志さん

消費者力の向上は、最先端のテーマ。そのコーディネーターとして貢献したい

福ョ 尚志さん(消費生活アドバイザー34期)
島根県健康福祉部高齢者福祉課 企画員(サブリーダー)

1994年、島根県入庁。主に教育・福祉・医療保険畑を歩く。2011年4月から3年間、環境生活総務課消費とくらしの安全室で特定商取引法や消費者教育などを担当、島根県消費者センターマスコットキャラクター「だまされないゾウくん」(写真ポロシャツのマークに注目!)の公式Twitterを立ち上げる。2014年4月より現職。
趣味は小説・エッセイ・評論などの文章を書くこと。2013年、第一法規のWebマガジンに「実務が育てる! 自治体職員の法務感覚養成術」全12回を執筆。現在、松江市文化協会『湖都松江』誌編集委員として活躍中。

現在のお仕事について、ご説明ください。

福ョ 島根県庁の高齢者福祉課で、旧軍人やご遺族等の援護事務を担当しています。恩給や各種給付金など、大半は国の事務なのですが、その一部を住民に身近な自治体が担当しているものです。

 来年で戦後70周年になります。当時、文字どおり命がけで働いた旧軍人とそのご遺族への支援は、今もなお行政にとって、目立たないけれども大切な仕事なんです。

 自治体は総合行政ですから、いろんな部署・仕事があります。高齢者福祉課は私にとって8つ目の職場で、この3月までは消費者行政部門にいました。

2011年に、消費とくらしの安全室に配属されていらっしゃいますね。

福ョ ええ。当初は消費者問題には興味も知識もほとんどなく、どんな仕事が待ち受けているのか全然知らないままの異動でした。でも、すぐにその魅力に夢中になりました。

 特に強く心に響いたのが悪質商法問題ですね。
 それまで小説やドラマのなかでしか見聞きすることのなかった詐欺や悪質商法が県内でも発生していました。その現実をつぶさに把握し、県知事に与えられた調査・処分権限を駆使して悪質業者の違法行為をやめさせ、消費者を守る。
 本当にスリリングで、しかもやりがいのある仕事でした。

島根県の消費者被害はどのような状況でしょうか。

福ョ いわゆる特殊詐欺(振り込め詐欺と振り込め類似詐欺の総称)に限定しても、島根県警の公表数値によれば、2013(平成25)年度の被害件数が32件、被害額は約2億3,446万円にのぼります。
 未遂に終わった件数はその何十倍でしょうし、警察や消費生活センターに相談できないまま泣き寝入りしている潜在被害もあるはずです。

 公表している事案では、次のような劇場型詐欺がありました。
 ある県民のもとにA社から「FX投資用のパソコンソフトを買いませんか」というパンフレットが届く。  続いてB社から電話がかかり、「うちの顧客がA社のパソコンソフトを大量に欲しがっているけれど、パンフレットが届いた人しか買えない」「後で2割増しで買い取るから代わりに購入してくれ」と言いくるめ、約700万円を振り込ませた。業者はその後、行方をくらましました。
 B社は架空、A社は株式会社としての登記はあっても実態のないペーパーカンパニーでした。
 法律上の都道府県知事の権限には限界がありますが、可能な限り調査を進め、県条例に基づいて社名と不当な取引内容を公表しました。

 また、悪質開運商法の事案も。
 ダイレクトメールで1万円程度のアクセサリーを広告し、「開運効果が無ければ100%返金保証」と謳っていました。
 県民がこれを購入したけれど、当然効果なんてありません。
 返金してもらうために業者に電話をすると、
「これまで数百人が購入していますが、幸運が訪れないという苦情は初めてです。うちの信用にかかわりますので特別に霊能者に霊視してもらいましょう」「大変です。あなたは100年に一人の幸運の持主なのに、悪霊が邪魔していて幸運を得られないでいることがわかりました。除霊のために聖地から採取した砂を20万円で購入してください」
と畳みかけてくるわけです。
 違法な霊感商法ですが、東京の業者でしたので、島根県が厳格な立入調査を行い、業務停止命令をするには相当な時間がかかります。
 そのため被害拡大防止を優先し、行政処分としては一段低い改善指示処分で業者名と手口を公表しました。
 結果として業者は商売にならなくなり、後日警察に逮捕され、かなりの類似余罪があることが判明しました。

 この事案はNHK「あさイチ」が開運商法特集で取り上げてくれて、私は番組内で行政処分の具体的な着眼点を解説しました。

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